”もうひとつのWBC”「第5回世界身体障害者野球大会」日韓戦最終回の攻防にあったピンチを乗り越えるカギとは?
プエルトリコ戦では ”MVP男”早嶋が快投
初日2試合目はプエルトリコで先発は早嶋。前回大会MVPの右腕は前の試合の影響も感じさせず相手打線を4回で6奪三振、2回から4回までは3者凡退と圧巻の投球を披露し、スタンドを沸かせた。
打線も3回に先制すると、4回にも1点を追加し援護。そして6回には本大会絶好調の小寺伸吾が満塁のチャンスから2点二塁打を放ち試合を決定づけた。
小寺は工事現場でカッターによる事故で左手首が一度切断された。12時間の懸命な手術を経て繋ぎ止めることができ、その後2年にわたりリハビリを行った。
15年に春秋の全国大会で計36回優勝の名門・神戸コスモスに入団。WDBには前回に続き、2大会連続の選出となった。
試合は早嶋が完投し、5−1で勝利。日本は連勝スタートで初日を終えた。試合後にはプエルトリコ先発のラズーが早嶋のところへ向かい、言葉を交わした。
「ラズー投手は昔の僕みたいに、既存のグラブを工夫して使っていたので僕のグラブの存在を知ってもらいたかったです。今大会、ラズー投手やたくさんの人がグラブに興味を持ってくれたのは嬉しかったです」
お互いにグラブを見せ合ったという2人。というのも、早嶋のグラブは地元和気閑谷高校の球児たちがグラブ職人と共につくり上げた特別なグラブである。
背面にポケットがあるのが特徴で、右手で捕球後に左手をそのポケットに入れ替えることで素早く送球へ移ることができるなど、”世界レベル”のパフォーマンスを発揮するのに大きな力となっている。
初日を連勝で終えた日本は翌日、台湾とアメリカ戦へと臨んだ。
(つづく)
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