高橋由伸 監督生活と恩師を振り返る「いい経験だった3年間」

1月、都内でスポーツ指導者の祭典「第7回ジャパンコーチズアワード」が開催された。ジャパンコーチズアワードとは、優れた業績を残したスポーツ指導者を競技やプロ・アマチュアの垣根なしに選定し、表彰するアワードである。

表彰式に先立ち、読売巨人軍前監督で現在は野球評論家の高橋由伸氏によるトークショーが行われた。指導の現場に携わる参加者の方に向けて、3年間の監督生活そして選手・学生時代に仕えた恩師について振り返った。
(以降、敬称略)

選手と監督では全く景色が異なる

2015年オフ、巨人軍第18代監督に就任した。現役引退・即監督就任となった当時、どんな心境だったのか。

「いずれは指導者・ジャイアンツの監督にというのはなんとなく頭には描いていました。報道もされていましたので、もしかしたらという想いはありました。話が来た時は、自分にとって辞めるタイミングなんじゃないかなって思いましたね」

16年から3シーズン指揮を執った。自らが采配を振るう立場になり、現役時代に見ていた監督像とは見え方が全く異なったという。

「選手から見える監督と、監督から見える景色はすべて違いました。考えることももちろん違いましたし。選手から監督になるまでに間がなかったので、正直切り替えに時間が掛かったのかなと今振り返ると思います」

入団当時との価値観の違いとは

近年、日本のスポーツ界は価値観の変化が進んでいる。従来の考え方や教え方が今は通用しなくなっている。

98年から18年までの21年間、選手・指導者と立場を変えながらプロ野球の世界で過ごしてきた。選手の価値観は入団当時からどう変わっていったのか。

「我々はどちらかというと与えられたものでやってきたということの方が多かったと思うんですけれども、今の選手たちは自分たちで情報を持っている。我々以上に選手の方が情報が豊富だと思いますね」

また、選手たちの意識も変化している。多くの情報を持っているため、自らが納得して初めて実践するという選手が増えたという。

「今の選手は自分が納得して初めて受け入れる選手が多いと思います。若い選手にアドバイスをしたときに、自分が目標としている選手や好きな選手を参考にしてやりたいと言う選手もいます。お互いが間を取ったり意思の疎通を取る点では上手くやっていく必要があると感じましたね」

時に笑顔を交えながら監督生活を振り返った

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