岡山桃太郎「第24回全日本身体障害者野球選手権大会」3連覇 全員野球で成し遂げた「春のリベンジ」

11月5日〜6日、兵庫県神戸市で「第24回全日本身体障害者野球選手権大会」が開催された。全国から各ブロックを勝ち抜いた7チームが集まり、2日間で計9試合が行われた。

3年ぶりに全地区7チームで行われた本大会、決勝は岡山桃太郎と名古屋ビクトリーの顔合わせに。昨年第23回の選手権及び5月に行われた春の選抜大会でも決勝で両チームは対戦しており、”3戦連続で決勝”かつ両エースの投げ合いとなった。

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(取材協力:NPO法人日本身体障害者野球連連盟 文:白石怜平 以降、敬称略)

決勝戦は初回から波乱の展開に

岡山の先発は日本代表でもエースを務めた早嶋健太、名古屋の先発は5月の選抜大会で早嶋に投げ勝ち優勝、大会MVPとなった藤川泰行。

投手戦になると誰もが思ったこの試合、初回から予想しなかった展開になる。

1回表岡山の攻撃、先頭の早嶋が安打で出塁すると2番で主将を務める槙原淳幹が右翼へ2塁打を放ち先制。4番・浅野僚也が思い切り振り抜いた打球は、左翼が懸命に追うも左中間を抜け走者一掃の2点三塁打に。

浅野の適時打で井戸がクロスプレーに

その後も攻撃の手は緩めず、この回打者一巡を超える猛攻で一挙7得点。これまで抑え込まれてきた藤川を攻略した。

試合後に岡山の谷藤隆行監督はこのシーンを振り返り、「フライアウトがこれまで多かったので、試合前にセンター返しを意識することを全員で再度統一させました」と語った通り、チームが一丸となって繋ぐ野球を見せた。

この回の途中には、クロスプレーの判定を巡って名古屋の荻巣守正監督が抗議するシーンもあるなど波乱の幕開けとなった。

主審へ抗議する名古屋の荻巣監督。勝利への執念を見せた

登板前に大量援護を受けた早嶋は、緩急を織り交ぜた投球でゴロの山を築く。5月の選抜では守備の乱れから崩れ敗戦に繋がったが、今回は堅い守りでもバックは早嶋を援護した。

外野への大飛球も中堅を守る浅野が俊足を飛ばしキャッチするなど、相手に攻撃のチャンスを与えることさえしなかった。

中堅・浅野のファインプレーで相手のチャンスの芽を摘んだ

谷藤監督は守りの面においても

「初回から大量点をとって楽になれた部分もありましたが、1つずつ丁寧にアウトを重ねられました。名古屋さんも粘り強く喰らいついてきましたが、1点に抑えられたのはチームとして成長できた部分だと思います」

と述べ、半年間で修正し結果へと繋げていった。

名古屋は2回裏に1点を返し、藤川もその後すぐに立ち直り2回以降0に抑える投球を見せるも、初回の失点が重くのしかかる。

そして迎えた最終回、早嶋はこの回も0に抑えゲームセット。岡山が秋の選手権大会3連覇を達成した。ナインがマウンドに駆け寄り、歓喜の輪ができた。ベンチに一度戻る際に、早嶋が涙しながら歩を進めるシーンも見られた。

最後まで投げきり、チームに大会連覇をもたらした

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