• HOME
  • 記事一覧
  • スポーツビジネス
  • 横浜DeNAベイスターズ 従来の常識を変えた新たな観戦定義と”横浜反撃”を後押ししたユニフォーム制作秘話 〜横浜スポーツビジネススクール 第2回編①〜

横浜DeNAベイスターズ 従来の常識を変えた新たな観戦定義と”横浜反撃”を後押ししたユニフォーム制作秘話 〜横浜スポーツビジネススクール 第2回編①〜

2022年 新たな取り組みの代表「I☆YOKOHAMA SERIES」

毎年様々なイベントや施策で、ファンの方に喜びと観戦体験を提供してきたベイスターズ。しかし、毎年同じことをしているだけでは上述の価値を提供し続けられないと考えており、常に新たなアイデアと工夫を凝らし続けている。

原さんは昨年行われた新たな取り組みの事例として、「I☆YOKOHAMA SERIES」を紹介した。

同シリーズは、”ベイスターズ”・”マリノス”が共に誕生から30年を迎えたことを記念して行われたコラボレーションイベントである。

昨年行われた「I☆YOKOHAMA SERIES」(写真は球団提供)

「両チームのスタッフで、お互いに節目ということで『2022年は大きなイベントを一緒に1年間やっていこう』というのを話し合っていました」(原さん)

このイベントの中核となるのが、両チームによるスペシャルコラボユニフォーム。ベイスターズは6/28~6/30の阪神3連戦で、マリノスは6/25のJリーグ第18節 柏レイソル戦と、それぞれのホームゲームで着用した。

同じコンセプトを持ったスペシャルユニフォーム(球団提供)

このユニフォームは、競技やリーグの垣根を越えた同じコンセプトを持つデザインとなっている。制作するにあたり、実現までの苦労を講義では語られた。

まず、両チームでユニフォームサプライヤーが異なることだった。ベイスターズはデサント社、マリノスはアディダス社(ドイツ)である。デザイン会社も両チームで異なるため、国境を超えての調整は様々なハードルがあった。

「完全に同じデザインは難しいということで、両チームで再度協議し、共通したコンセプトをそれぞれのデザイン会社様へ共有することで、双方で落とし込んでいただきました。その結果、極力似せたユニフォームになる形で着地しました」

コンセプトキーとなったのは、「海と港のまち」。横浜を象徴するレンガ調の街並みにも馴染みやすいネイビーが基調となり、アクセントとして横浜市花であるバラを表現したピンクを彩った。

また、本ユニフォームは普段使いのファッションとして、日常生活に取り入れやすいスタイリッシュなデザインとなっているのも特徴となっている。

プロモーションにおいても、特徴を活かした新たな取り組みが行われていた。原さんはその狙いを説明した。

「応援グッズの1つとしてだけではなく、観戦する以外の方々にも広がりを見せるために、グッズを『街中で身につけていただく世界観を作る』。すなわちファッションの1つとして、ランニングや買い物に行く時の一部に、ユニフォームなどがある世界観をつくりたいと考えました」

イベント策定時のエピソードを語った

新ユニフォーム発表の際は、選手が着用して記者会見やイベント時にお披露目されるのが通常のパターンである。

ただ、今回は選手着用写真ではなく「私服との着合わせ×ホームタウンを連想させる背景でのモデル起用」というスタイルのキービジュアルを採用した。

加えて、ユニフォームコンセプトの世界観醸成のための専用サイト用意やユニフォームのプロモーション動画を2チームで共同制作するなど、近年の欧州サッカー界のトレンドを参考にしたプロモーションを行った。

横浜を代表する2チームがタッグを組んだ取り組み、斬新なプロモーション企画による話題性などもあり、ユニフォームを始めグッズの売り上げ増にも貢献する企画となった。

さらにグラウンド内においても、スペシャルユニフォームはチームの”反撃”に欠かせないピースとなっていた。

着用した3連戦は、サヨナラ勝ちを含む3戦全勝。イベント初戦である6/28は、球団記録である本拠地横浜スタジアムでの17連勝を記録した起点の試合でもあった。

この縁起を担ぎ、選手たちからの要望も受けて9/11からの東京ヤクルト戦から再び着用し、スローガンだった「横浜反撃」をプッシュさせた。

山﨑康晃投手も1月23日の新ホームユニフォーム発表時に「昨年のマリノスさんとのコラボユニフォームのように縁起のいいユニフォームにしたい」と挙げており、グラウンド内外ともに成功したイベントであった。

1月の新ホームユニフォーム発表時、昨年の躍進についても語られた

>山崎投手のコメント他、新ホームユニフォームのイベント模様について

次ページ:「まずは門戸を叩いて挑戦してほしい」

関連記事一覧