
「横浜スポーツビジネススクール」横浜DeNAベイスターズ × 福岡ソフトバンクホークス トークセッションで明かした”ユニフォーム配布イベント”誕生エピソード
横浜市内で行われた「第4期 横浜スポーツビジネススクール」。
全6回のプログラムの一つでは「他球団との比較から見る、特徴を活かしたプロジェクトの作り方」がテーマに展開されている。
第4期では、福岡ソフトバンクホークスでの取り組みの紹介や両チームの事業トップによるトークセッションが行われた。
(取材協力:横浜DeNAベイスターズ、福岡ソフトバンクホークス 写真 / 文:白石怜平)
ベイスターズが実現させる選手との連動企画
今回のセッションは、林裕幸・株式会社横浜DeNAベイスターズ取締役 ビジネス統括本部長と、直前の講義に続いて白川隆志・取締役兼執行役員営業本部長(当時は取締役兼執行役員マーケティング本部長)が登壇した。
両者は事業全体を管轄するトップの立場として、それぞれの球団の強みについて語った。
ホークスにおいては、前の講義で白川さんが述べたTV局との強い絆について改めてクローズアップした。(詳細は前章を参照)林さんも球団とメディアの関係を聞き、「うらやましいかぎりですね」とリアクションした。
一方、ベイスターズの特徴は何か。林さんは「企画や演出が私たちの強みだと思います」と明かす。
ベイスターズは11年秋にDeNAが親会社となって以降、これまで類を見なかった斬新な企画やスタジアム演出を実施し、スポーツ界の垣根を越えてビジネス界からも注目を浴びてきた。
今シーズンも本拠地開幕戦でのセレモニーで、主将の佐野恵太選手スタジアムの上空を飛ぶド派手な登場でファンを驚かせ、6月30日~7月2日の中日戦では「ポケモンボールパーク ヨコハマ」を開催し、し、選手がピカチュウのヘルメットを着用してプレーし、癒しと熱気の両立を実現するなど、アイデアの鋭さに陰りはない。

これらを実現するためには、選手側の協力が欠かせない。実施に至った経緯や選手たちとの”交渉”について林さんは話した。
「チーム側も事業側の取り組みについて理解いただいているのが大きいです。ピカチュウヘルメットの時も、最初は(選手が)面食らったと言いますか、『本当に被るの?』というリアクションも実際はありました(笑)。さらには『ここで選手に出てもらってもし負けたらどうするのか』という意見もあります。
ただ、我々も選手たちには、『ファンが増えてスタジアムが満員の中でプレーし続けることができる。ぜひこの活動を一緒にやってほしい』などと説明して納得いただいています。
事前説明だけではなく、結果どうだったかフィードバックもしっかりやろうと決めていて、ファンからの喜びの声やデータも交えて必ず共有していますので、そこから次につながっていきます」

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