「強みは”問題発見”と”問題解決”」横浜DeNAベイスターズ 壁谷周介さん 数々のテクノロジーで実現した便利化と新たな発見

15年、自身の提案でトラックマンを導入

13年・14年とITを活用した取り組みを浸透させていき、15年からはファーム・育成部⻑兼国際グループリーダーの役割を担うことになった。

壁谷さんは15年にトラックマン(球速や回転数・打球の角度や飛距離などを計測する機器)をセ・リーグのチームで初めて導入した。

注目されているベイスターズの数ある取り組みの1つに「世界最先端のベンチマーク」がある。

アメリカのメジャーリーグでは以前からチーム編成から選手のパフォーマンスアップのためにさまざまテクノロジーを活用し数値として分析するデータ革命が進んでいる。

ベイスターズでも壁谷さんを中心にいち早くキャッチアップし、チームへと取り入れているのだが、その入り口となるのがこのトラックマンの活用だった。壁谷さんはこのトラックマン導入が1つの大きな変化だったという。

「最も大きかったのは、野球では例えば投手では防御率や勝利数、野手で言う安打数や本塁打数などといった結果の数字ってたくさんあると思います。ただ、フィールド上でどういったプロセスでその結果や数字に行き着いているのかが分からなかった。

トラックマンを使うことで、ボールの動きが全て可視化できるので、今までの感覚で”球が速い”とか”キレがある”とか、”パワーがある”と言われてきたことが全て数字で語れるようになります。

野球の専門家でなくても話ができますし、今まで感覚的にやっていたところに対して新しい価値を見出せる。すごく大きな変化だと思いました」

トラックマンなどテクノロジーの導入を進めていった(球団提供)

ここで現場やスタッフの面々が感じることができた大きな変化とは何であったのか。さらに深掘った。

「選手においては、導入前までは試合の成績データしか出せなかったので、プレーの質については感覚でしか分からなかったんですね。

でも、トラックマンのデータをチェックすることで、『自分ってこんな回転数があるんだ』とか、『これだけ球がホップしているから空振りが取りやすいか』など、当日の結果に対して自分の感覚と数字をすり合わせることができるようになりました。新たな気づきの機会になったので、そこが大きな変化だったと思います」

ITやデータを駆使することでチームを強くするきっかけをつくった壁谷さん、17年に新たなグループを立ち上げた。

つづく

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