「会社は果たして令和を迎えられるのか…」倒産の危機を乗り越え転じた”2つの攻め”〜連載インタビュー第3回〜
サッカー元日本代表、浦和レッズで活躍した鈴木啓太氏は現在、株式会社AuB(本文以下、AuB)の代表として腸内環境の研究や情報発信などを行い活動の幅を広げている。
今回、鈴木氏がなぜ腸内環境の重要性を感じたのか、そして立ち上げたAuBをどのようにして成長させてきたのか。全4回の連載企画としてお送りする。
第3回は、激動の2019年にフォーカス。前年から不安を抱え現実味を帯びてきたAuB倒産の危機、乗り越えた先に見えた兆しがあった。
(取材協力 / 写真提供:AuB株式会社 ※以降、敬称略)
2019年、資金が枯渇し会社存続の危機に
2年間積み重ねた検体採取と解析が実り、3年目の2018年には「アスリートと一般の方の腸内細菌の違い」を発表できるまでになった。
19年4月には研究結果だけでなく栄養士による食事指導が開始され、AuB社の付加価値がさらに高いものになった。
従来は選手の持つ腸内細菌の傾向のみであったが、それに加え食事を見た際の傾向把握から改善に向けた栄養指導というように、選手へのサポート体制がより強化されたのだ。しかし全く同じ時期に、裏で鈴木は大きな危機感に苛まれていた。
それはAuBの資金枯渇である。「会社は果たして、令和を迎えられるのだろうか…」そんな不安が鈴木を襲う毎日が続いた。
「そうですね…前年の9月頃から『来年の4月辺りがヤマ場になるぞ』と。当然我々の取締役会、また社外取締役の方々からも色々とサポートいただきながら運営していましたが、それまでに資金調達しないとマズイという話が出ていました」
「気合と根性しかない」と、ひたすら金策に奔走する日々。それでも資金は減っていく一方。投資した自己資金や、エンジェル投資家から調達した1.3億円も残り約2ヶ月で底をつくところまで来ていた。
「創業時の資金調達に関しては、『こういうことやりたいです』と言って調達できたものが、『その後の進捗はどうなのか?』とビジネス的な要素が問われるわけです。そこに対して、”腸内細菌の分野ってどうマネタイズするの?”という課題が長らくあって、ピッチに立つところまではまだ行けてなかったのです」