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MLB「PLAY BALL」2024 in SHINJUKU 今永昇太投手が野球体験イベントに”凱旋登板” 子どもたちに伝えた”チャレンジ”に込めた想いとは?

12月8日、東京都内で「MLB PLAY BALL 2024 in SHINJUKU」が開催され、カブスの今永昇太選手がゲストに登場。

今回参加した150人の子どもたちが、野球に触れ合い・楽しむ時間となった。

(協力 / 写真提供:MLB Japan、文:白石怜平、以降敬称略)

現役メジャーリーガーがPLAY BALLに登場

「PLAY BALL」はMLBを代表する青少年参加型イベントで、アメリカやカナダなど世界各地で行われている。対象は野球をまだ経験したことがない、または少ない子どもたち。

野球を通じて心身の発育や友人との楽しみの場、そして野球の最も基本的なプレーの仕方などを学ぶことができるイベントとして、2022年から行われている。

24年も東京や石川そして石巻など、5都県で7回開催された。登場するゲストも松井秀喜さんや岩隈久志さんなど、かつてメジャーリーグで活躍した錚々たるメンバーが名を連ねている。

今回はなんと現役メジャーリーガーが参加。カブスで一年目から先発ローテーションの一角を担い、15勝をマークした今永昇太。オールスターにも出場するなど、大活躍を見せた。

1年目で15勝を挙げ、凱旋した今永投手(提供:MLB Japan)

「今日は一緒にチャレンジしましょう」

会場に集った子どもたちは抽選で選ばれた150名。今永は登場すると挨拶とともに、

「何か初めてのことにチャレンジするのは、すごく怖いかもしれない。僕も今年アメリカに行って初めてチャレンジしたので、皆さんは今日、僕と一緒にチャレンジしましょう」

と子どもたちの背中を押しながらイベントがスタートした。ここでの”チャレンジ”は、バッティングやボールキャッチ・ピッチング、そして今永とのキャッチボールの4つ。

子どもたちが野球に”チャレンジ”する機会になった(提供:MLB Japan)

キャッチボールをした際には「うまい!」「いいボール来てるよ!」などと、前向きになれる言葉をかけ続けた。

キャッチボールの合間に子どもたちから受けた質問にも答えた。ストレートの投げ方を問われた際には縫目を再現しているカラーボールを手にして解説。

「縫い目に指をかけて、ボールが潰れるくらいのイメージで」と、”今永先生”から伝授されるまたとない機会となった。

子どもたちとのキャッチボールでは一人ひとりに言葉をかけた(提供:MLB Japan)

”協力作業”をしながら、各コーナーを全員で体験

バッテイングコーナーではティー形式で行われ、精一杯バットを振った。最初はボールに当たらくてもすぐに適応し快音を放つ。打球は守ってる子どもたちがキャッチし集めるといった、”協力作業”も行われた。

今永は、後の質問コーナーでも「野球は一人じゃできない。みんなと協力してやることに意味があるので、お友達をつくって上手くなる・負けないぞという気持ちでやってほしい」と語っており、まさに描いていたシーンが見られた。

ピッチングエリアでは、9個のマスを投げ抜く”ストラックアウト”を用意。マス目に向かってこちらも目一杯腕を振った。

写真上:打撃そして守備を一緒に体験する工夫が凝らされた。 同下:投球フォームが様になる子どもたち(提供:MLB Japan)

質問コーナーで答えた「野球を好きになってもらう」には?

体験コーナー終了後は今永がピッチングを披露。笑顔あふれる和やかなムードから、シーズンさながらの緊迫した空気に。子どもたちからも「頑張れ!」と声援を受けながら、世界を代表する強打者を抑え込んできた投球を見せた。

数十分前に目の前で教えを受けた”先生の迫力に、会場全体が目を輝かせながら見入っていた。

自身の投球を披露した(提供:MLB Japan)

最後は子どもたちからの質問コーナーに。たくさん手が挙がり、「好きな食べ物は?」「速い球を投げるには?」などとたくさん寄せられた。どうやったら体が大きくなれるかについては、

「魚とかお肉・卵・納豆どたんぱく質をしっかり摂るようにしましょう。家に帰ったら、お母さんにたんぱく質の量を計算してもらって食事を出してもらうようにしてください」とアドバイス。

加えて、保護者からの相談にも丁寧に答えた。それは、「どうすれば子どもが野球に興味を持ってもらえるか」という問いだった。今永は両親が教師だったと話しながら、自身の接してもらった経験を振り返りながら答えた。

「今31歳になって自分の人生を振り返った時、教育方針について感じたのは僕にプレッシャーを感じさせたことがなかった。

『アレをやりなさい・コレをやりなさい』ではなく、野球を続けていて温かく見守ってくれた。自由にやらせてくれた、それが一番だと思います。

それ以外のマネジメントを、ご両親が(子どもに)気づかれないようにやるのが一番だと思います」

子どもたちの将来につながる回答を贈った(提供:MLB Japan)

質問を終えると、今永から未来のメジャーリーガーになる可能性あふれる子どもたちへメッセージを贈った。

「あのときに参加した者ですと僕の前に現れてくれたら嬉しいので、皆さん共に頑張りましょう!」

最後に全員での記念撮影で締めた(提供:MLB Japan)

「人生に2連敗はない。挑戦した時点で1回勝っている」

約90分のイベントは無事に全コーナーを終了。最後に今永は、

「本当に子どもたちの成長スピードにはすごくびっくりしましたし、やっぱりみんなが目をキラキラさせてキャッチボールしている姿がものすごく嬉しかったです」と感じたことを述べた。

先で保護者からも質問を受けたが、自身も野球人口の減少といった課題を感じている。

PLAY BALLがまさに野球人口の拡大の力になるためにスタートしたものであり、そこに参加した立場として改めて保護者たちにもリクエストした。

「今は公園でボール遊びができないとか、野球を始めるために低くはないハードルがあると感じています。道具代ももちろんかかりますしいろんな事情があると思うので、決して無理なさらない範囲で子どもたちが好奇心を持ってもらえるような環境作りをしてもらって、できる範囲で始められたらいいのかと思っています」

野球の楽しさを直接伝える機会になった(提供:MLB Japan)

また、冒頭の挨拶にも子どもたちへ呼びかけるなどあった”チャレンジ”。この日今永が挙げたキーワードだった。

現在自身もチャレンジの真っ只中。「新しい自分を作り上げている途中」とし、このワードに込めた想いも明かしてくれた。

「人生に2連敗はないと思うんです。挑戦した時点で1回勝っている。仮に失敗したとしても1勝1敗じゃないですか。

2連勝するチャンスしかないので、何でもチャレンジする。英語もアメリカの食事も。何かこれをチャレンジするのではなく、全てをチャレンジするというのが僕のポリシーになっています」

この日贈った”チャレンジ”の言葉はまさに今実践している(提供:MLB Japan)

メジャー1年目の今季は野球だけでなく異国での生活も挑戦の連続だった。

英語は「一番電話の時が怖かった」そうだが、最初は通訳に依頼していた遠征先ホテルで行うフロントへの電話も、今季途中から自分の英語で伝えるようにしたという。

「最初は何かを見ながらでしたが、それが通じた。できないことがどんどんできるようになっていった実感があって、それがとてもいい経験だったので、やはりチャレンジをしていくことが大事だと思いました」と語った。

今永は自身を以下のように評しながら、今回参加した子どもたちそしてファンの方たちに見てもらいたいことについて語った。

「すべてがうまくいくタイプではない。でもうまくいかないときも、壁を乗り越えようとする姿勢を見てもらえたら嬉しい」

25年3月、今永投手は日本のマウンドに凱旋する。2年目のチャレンジに向けて、今も新しい今永昇太をつくり上げている。

(おわり)

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