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松坂大輔氏 3年連続の参戦!最終打席での安打でドラマを演出 高校女子選抜の選手にも「毎年感謝の気持ちを持っています」 

9月23日、東京ドームで「SATO presents 高校野球女子選抜 vs イチロー選抜 KOBE CHIBEN」が行われた。

西武やレッドソックスなど日米で活躍した、”平成の怪物”こと松坂大輔氏もKOBE CHIBENのメンバーとしてグラウンドに立った。

(写真 / 文:白石怜平)

投手断念も、外野で好プレー

22年の初参加以来、3年連続で出場となった松坂氏。この試合では「3番・左翼」でスターティングメンバーに名を連ねた。

昨年の終了時には、「僕もいい投手だったんだよ、と思い出してもらおうかな、と。投げている姿をもう1度見せられたら」と投手復帰を宣言してたが、

「今年も一人でも投げられればと思って準備していたのですが、8月頭に肩をやってしまったので」とマウンド復帰は悔しくも断念していた。

この日外野手として務めることになったのはイチロー氏と相談の上で決めたが、予想とは外れる展開に。

「(マウンドで)投げられないということでレフトか一塁どっちがいいかイチローさんからいただいたのですが、一塁に比べて打球は来ないだろうとレフトにしたのですが、初回からバンバン打球が飛んできて(笑)」

左翼に就き、打球を何度も処理した

まさに、初回から高校野球女子選抜の猛攻が松坂氏らを襲った。2番・井戸穂花選手(東海大学付属静岡翔洋)が放った大飛球は松坂氏の頭上を越え三塁打に。

さらに、5番・原田京佳選手(広陵)が放った左中間を割る当たりがフェンスまで届き、松坂氏が追いかけて打球を処理した。この回いきなり3点を失う展開となり、

「初回これ何点取られるだろうと、女子の選手たちがイチローさんの速球に苦労しない振りの強さにびっくりしました」と試合後にその時の心境を語った。

その後も飛球が来るも全てこなした

また、左打者である井戸選手の大きな当たりについても

「さすがに左打者で頭を越されることはないと思って前目に守ってたんですけども、思った以上に飛んできましたね。

イチローさんも点を取られてスイッチ入ったって言っていましたけども、今年の(高校女子選抜)チームはやばいぞと思って、僕の女子選手たち序盤の攻撃を見てスイッチ入りました」

ただ、その後は何度も打球が飛んで来るも安定した守備を披露した。

4回の先頭に堀みずほ選手(神戸弘陵学園)が放った左翼への大きな飛球をランニングキャッチ。抜ければ長打だっただけに、マウンドのイチロー氏も松坂氏に向かって両手で大きく手を叩いた。

4回に好捕を見せ、ベンチで労いを受けた

8回裏の初安打で劇的ドラマを演出

一方攻撃において打順は3番を務め、4番の松井秀喜氏の前を打つことに。序盤はいい当たりを放つも、安打にならず不運な面もあった。

初回は三塁へ強襲の当たりを放ち(記録は失策)、4回裏に無死一・三塁のチャンスで回ってきた第三打席は、右翼にヒット性の当たりを放つも井戸選手のスライディングキャッチに阻まれた。(記録は犠飛で1打点)

しかし、最後のドラマに向けて大きな役割を果たした。無安打で迎えた8回裏の第六打席、2死一・三塁と再びチャンスで迎えた。

カウント2−1からの4球目を引き付け右前に初安打。走者を還すとともに、直後の松井秀喜氏の劇的な本塁打へと繋げた。

六打席目にこの日初安打を放ち、劇的弾へと繋げた

これまで安打が出ていなかったことを気にしていたという松坂氏は、

「僕だけヒット出ていないのは分かっていたので、なんとか松井さんに繋ごうと、最後その気持ちで打席に入りました。

みなさんに打席を回してもらったので、なんとか打って松井さんに回したいなと思っていました。なので繋いだ僕を褒めてください(笑)」

と終了後のお立ち台で、笑わせてみせた。ただ、2死ということで凡退すれば最終回の守りに入ることになっただけに、打席での心境も吐露した。

「最後の打席は結構プレッシャーでしたよ。松井さんのホームラン、最後の最後にその打席を見たいって思っていたファンの方も多かったでしょうし」

前の打席でも安打性の当たりを放っていた

本塁打の瞬間は、塁上で体感することになった。その時についても問われた。

「打球音で行ったと思いましたね。打球がどこに行ったか分からなかったんですけども、球場の歓声・盛り上がりで『あ、行ったんだな』と分かりました。とにかく音がすごかったです」

改めて振り返りながら語ると続けて、下を向きながら感慨深くその余韻を表した。

「なんとか松井さんに繋げれば盛り上がるんじゃないかと思っていましたけども、想像以上の結末でしたね。すごかったです、いやぁ本当すごいな」

意地の一打で4番へと繋いだ

「毎年女子選抜の選手に感謝」

3回目の出場を終え、試合を振り返った。この試合に臨む高校女子野球選抜のチームについての印象などを語った。

「彼女たちのプレーを見て、野球に対する想いや熱さは毎年感じますし、それを見て僕自身も頑張りたいって毎年思わせてくれます。

この試合に出たいと言っている選手がいると聞きますし、女子選手たちのモチベーションになっていることが嬉しいですね。毎年女子選抜選手たちに感謝の気持ちを持っています」

感謝の気持ちを持ちながらプレーしていた

回を重ねるごとに緊張感が増しているとも述べた松坂氏。年々レベルが上がっていることをグラウンドを通じて実感している。

また、特に今年はこの試合に懸ける想いや取り組みについて耳にしていたという。

「この試合の前にも合宿をして臨んだって聞きましたし、みんなに聞いたら130km/hくらいのストレートを打ち込んできたと。

本当にこの日のために照準を合わせて”対イチロー”にどれだけ喰らいついていくのかを、見させてもらいました」

「2人の背中を見て守っていた」

今回は松井氏も参加し、例年以上の盛り上がりを見せた。

松坂氏も学生時代から活躍を見ていた2人の大打者。今回一緒のユニフォームを着てプレーできた意義について質問が寄せられた。

「毎年思うのですが、3回目で今年が一番幸せな気持ちにさせてもらいましたね。イチローさんと松井さんが揃うところに自分自身も同じタイミング・同じフィールドに立てて、2人の背中をレフトから見させてもらいました。

イチローさんが投げて、松井さんがセンター・途中からサードに回ってちょうど2人が視界に入るんで、すごくいい景色の中で守らせてもらっているなと思って試合に出ていました」

大打者2人と共にプレーできた幸せな時間だった

この日は30,000人近い観衆が東京ドームに詰めかけた。現役時代の活躍をよく知る多くのファンが、試合前からその一挙手一投足に注目していた。

「僕がここに入れると思っていなかったですし、イチローさん・松井さん・女子選抜そしてこれだけのお客さんの前でプレーできる。本当に幸せでした。3回目で一番幸せな気持ちにさせてもらったのはこれだけ集まってくれたファンのみなさんのおかげです」

野手として元気な姿を披露した

「もう一回マウンドに立ちたいです」

今回も残念ながらマウンドに立つことは叶わなかった。上述の通り肩を故障している影響だったが、最後までファンの前で投げられるか模索を続けていた。

「(昨年時に)一年後はピッチャーでっていう話をして、僕は準備をしてたんですけど、結果もっと投げられない状態で今日を迎えてしまった。

もう一回準備して、今日も一人だけとか行けたらという気持ちはあったのですが、投げられるならもう少し、投げられる形にして立ちたいなと思います」

次は復活のマウンドに立つ

イチロー氏は、マウンドに立ちたい気持ちは確かに伝わっていたと語る。一緒に練習をしていた時の取り組みを明かしてくれた。

「ブルペン入るなどして準備してきてくれたんですよ。2日前の練習の時も注射4本打って来てもらって。今日は18本打って頑張れっていったんですけども(笑)。でもみなさん大輔がマウンドに立つ姿期待しているから。一年かけてまた次見たいね」

イチロー氏も心意気を感じるとともに翌年へ期待を寄せた

自身もマウンドへの想いは決して衰えていない。来年実現できるよう、このように語った。

「イチローさんにも改めて言ってもらいましたし、1人でも1イニングでも1回りでも投げられるような状態をつくってもう1回マウンドに立ちたいです」

打席でこの3年間活躍を見せ健在をアピールした松坂氏。KOBE CHIBENの一員として来年、東京ドームのマウンドへと帰ってくる。

(おわり)

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