原辰徳監督 「次回以降も続く形になれば、野球界が発展している証に」日韓両国で築いた新たな野球史の1ページ
7月22日に「ES CON FIEFD HOKKAIDO」で行われた「日韓ドリームプレーヤーズゲーム」。
ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)や五輪で熱戦を繰り広げてきた日韓OBによる夢の一戦が行われた。
日本代表を率いたのが09年第2回WBCで侍ジャパンを世界一に導いた原辰徳監督。大会前には「国際試合で戦ったあの興奮がよみがえってきます」とコメントし、この日を心待ちにしていた。
迎えた当日、記者会見に姿を見せると15年前の決勝戦以来の再会となる韓国代表・金寅植(キム・インシク)監督と喜びの握手を交わした。
会見ではまず、監督に就任オファーが来た時の心境を明かした。
「この話をいただいた時に、世界中の野球ファンが注目するだろうと思いました。当然日本のファン、そして韓国のファンの人たちも今日の一戦を注目してくれるでしょう」
この試合にかける想いについても合わせてこのように語った。
「聞くところによると昨日も韓国チームは練習したと。我が日本チームはそれぞれの自主性に任せ、”自主トレ”という形で今日迎えました。
どういう形になるか、チーム・選手を離れたOBではありますが、やはり我々の選手として一生懸命にやるという想いをみんな持っているでしょうし、今日は素晴らしいゲームになると私も思っております」
最後に意気込みについて問われると、
「日韓戦というのはの命がけで戦った印象です。今日は初めての試みでもありますし少しリラックスをしながら、良いプレーが出たら両軍に拍手を送る、どんなプレーであってもニコっと笑える。そういうゲームであったらいいなと。
今回を第一回として次回以降も続く形になれば、野球界が発展している証になると思います」
グラウンドに出るとケージで選手たちの打撃練習そ見守ると、途中から自らノックを打つなど精力的に動いた指揮官。野球人としての血が沸いてきている様子だった。
なんとこの日は原監督66歳の誕生日。セレモニーでも紹介されると球場全体で祝福した。
「これは私的なことなので、この話をいただいた時66歳を迎える日にこういうゲームが行われるというのはとても嬉しく思います。だからと言ってお祝いをしてもらおうというわけでなく、淡々と参りました」
と会見でも触れられると、爽やかなスマイルを交えて答えていた。
試合では投手交代時に自らマウンドに行った。投手を労うとともに内野で声をかけるなど、真剣勝負の雰囲気があった中にもリラックスした空気をつくった。
「勝利を目指して全力で戦います」と大会前に語っていた指揮官は勝利への采配を見せた。
リードオフマンを務めた西岡剛を交代後も2度代走で起用し、2回に無死満塁から登板し犠飛のみに抑えた森福を9回再びマウンドに送るなど、一度交代しても再度出場できるルールも上手く活用した。
試合は糸井嘉男の3ラン本塁打などで6回に逆転し、10−6で勝利した。試合後のセレモニーで再びマイクを前にすると力強いメッセージを送った。
「このエスコンフィールド、最っ高のスタジアムでした!ありがとうございました。開催が決まり、選手が決まり、各選手には一人ひとりしっかりと調整してほしいとお願いをして今日を迎えました。
韓国チーム、そして我々日本代表チーム。国を背負って戦った選手、本当にポテンシャルの高さに驚きました。皆様もさぞかし素晴らしい戦いぶり、素晴らしいプレーに感動されたと思います。
この試合を第1回としてですね、お互いかなりの使命を持って今日戦いました。これを2回・3回と続けていけば野球界の発展につながると信じています」
歴史的一戦を率いた原監督。日韓の絆をさらに深めるとともに、両国の野球が新たな1歩を踏み出した。
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