クボタスピアーズ船橋・東京ベイ 岸岡智樹のラグビー体験会 第4回のテーマは趣向を変え、「頭を使ってラグビーの難しさを知ろう」
クボタスピアーズ船橋・東京ベイの岸岡智樹選手が11月中旬、大人のファン向けにラグビー体験会を開催した。
今年1月から開始して4回目、今回も現役選手と直接関わりながらラグビーを上達できる2時間になった。
(写真 / 文:白石怜平:以降敬称略)
まもなく1年を迎える現役選手によるラグビー体験会
本体験会は岸岡が運営しているラグビーサークル「トモラボ」の一環として行われている。
トモラボの参加メンバーからリクエストがあり1月に実現した本イベントは、リピーター・新規問わず毎度30人近くがコートでコミュニティでの絆を深めている。
ここでは岸岡自身もシーズンの最中であって参加し、さらに都度特別ゲストとして共にスピアーズで戦っている現役選手が登場しているのが大きな特徴。
第1回から山本剣士・島田悠平といったスピアーズの現役選手もゲストに招くなど、特別な空間を創り上げている。
プログラムは回を重ねることにより実践的な内容へと進化しており、前回はビーチラグビーの練習を行った。
経験者である玉置将也が直接レクチャーを行うだけではなく、6月には和歌山で行われた大会に出場し予選リーグ3連勝を収める結果も残した。
第4回の特別ゲストを務めたのは梁本旺義。チームのムードメーカーらしく、開始の仕切りを任された。
今回は「表」と「裏」での出し合いがテーマ
梁本は開始前から参加者とボールを投げ合いながら交流していたが、挨拶は「緊張しました」と意外な?スタートを見せた。
ウォーミングアップはこれまでのようにゲーム形式で、全員がボールに触れられるよう工夫が凝らされている。その後は岸岡と梁本は二手に分かれ、体験コーナーへ。
過去にここではゲストのポジションに合わせてテーマが組まれてきた。
山本はPRのポジションらしくスクラム、島田はディフェンスのポイントをレクチャーを交えながらメニューを展開した。
今回は、趣向を変えて行われた。それは、ラグビーのボール出しで用いられる「表」と「裏」でお互いに連携するプレー。
岸岡・梁本にいかに取られないようにするか、2人組で考えながらボールを出し合った。
岸岡はこの狙いを終了後に明かしてくれた。
「今日頭を使って絶妙に難しいポジションでやってみました。というのも、今回はラグビーの難しさを知ろうというのをテーマにしました。
ラグビーは体が大きくてしかも速い、いわゆるフィジカル面のイメージが強いと思うのですが、頭や反応も大事だとよいうのを伝えたかったんです」
その意図通り、ボールの出し合いではボールを奪おうとする2人の動きに反応し、時にはパスを出せず立ち止まるケースも。ここで、岸岡は一つヒントを与えた。
「着目ポイントとして、向かいの相手は体のどこが動かないでしょうか?それは腰です。なので、どの方向にパスを出せばいいかは腰を見て判断をして見てください」
パスを出すポイントを伝授した
梁本は開始前に簡単なレクチャーを行っており、まず何が必要かを説いた。その時の回答に感じたことがあったという。
「僕が言いたかった”ボールを見る”というキーワードが教える前に出てきたんです。開始前からボール回しをしても感じたんですが、やはりレベルが高いんだと」
2人の現役選手が分かりやすく伝え、そしてこれまでの体験と実践により上達を重ねてきた参加者はみるみる吸収した。
見事にボールを渡しながらマークをかいくぐるシーンが何度も見られ、グループ全体から拍手が起きた。
岸岡は、参加者の面々が瞬く間に適応する姿を見たことも踏まえ、先ほどに続けて以下のように続けていた。
「これまでは、ラグビーの”楽しさを知ろう”というイメージを持っていたのですが、みなさんが前向きに取り組んでくださったので応用編を取り入れました。
頭を使って新しい視点として気づいてもらうことで、『選手はすごいんだ』というのを伝えられたと思います」
また梁本は、表と裏を使ったプレーについて終了後に解説を加えてくれた。
「お互いに前に出過ぎないことです。ラグビーはチームスポーツでありながら個人の局面が多いですが、コミュニケーションが合わなかったらディフェンスは崩れてしまうので、距離感が重要となります」
さらに「頭を使った」実践へ
梁本が語った距離感がさらにこの後のメニューのキーワードになった。続いて岸岡を集め、次は”仕掛ける”をやりますと伝えた。
ここで仕掛けるとは「1:1の状態に持っていくことです」と説き、その状態からどう味方にボールを渡すかシミュレーションを促した。
直前の練習をより実践的にしたメニューで、参加者はさらに考えを絞らせる。みんなが楽しくも迷いを見せた様子を見て、岸岡はポイントを3つ伝えた。
「距離・スピード・方向です。それぞれのバランスを考えてボールを出します。スペースを広げてパスの距離が伸びるとなるとその精度が必要です。
また、走るよりも球の方が速いのでそれ以上になることはない。早く投げすぎないように相手の方向を見るのが大事です。
なので、さきほど言った”腰の動きを見て”使い分けてみてください」
より応用の要素が加わったが、相手の動きをみながら徐々にパスを効率的に回せるようになり、メンバーからの拍手の回数が増えていった。
レベルの高さについて話していた梁本も、さらに驚きと笑顔を見せた。
岸岡自身が語る”体験会の価値”
頭を使い込んだ後はお待ちかねのタッチラグビー。
5回タッチしたら攻守交代となり、さらに交代の数を多くするなど、短い時間で全員が試合に参加できるよう臨機応変に回していった。
2時間かけて行われた体験会は、今回も怪我なく全員が笑顔で終えることができた。参加者も第4回を終えてみて
「今回はすごく頭使いました」
「いい運動ができた共に、考えてラグビーできました」
と、充実した表情で振り返ってくれた。
岸岡は体験会のアップデートを重ねており、今回も終えてみて手応えを述べた。
「ラグビーが上手くなるための根拠を追求できることが、この体験ならではの価値だと思っています。
今回は運動量は少なかったかもしれないですが、ちょっと”モヤモヤする”感じ。それが”もっとやりたい”とか楽しさに繋がるので、さらにラグビーにのめり込める環境をつくれたと感じています。
僕は、みなさんに観ているときの視点が変わればいいなと考えているんです。より玄人目線になれる、そういう体験会だと感じています」
そして、最後に訊いたのは開幕まで一ヶ月を切った新シーズンに向けて。
まず梁本にシーズンに向けて取り組んでいること、そして自身について話してもらった。
「オフは体重も増やして戦える体づくりを行いながら、接点のスキルを上げてきました。チームは優勝、個人としては公式戦に1試合でも多く出れるようにすることが目標です」
そして岸岡。昨年は本職のSOに加えてSHでもで出場し、出番を大きく増やした。
今シーズンに向けてはフラン・ルディケHCと話し合い、「SHで勝負すると話しました」と決断したことを明かした。
「去年の経験はとても大きかったです。今シーズンも自分が出せる味を出していきたいですし、チームとして勝つこと。自分のプレーが勝利に直結すると思うので、勝つことを貪欲に追い求めていきたい」
スピアーズは1日現在、聖地とも言えるえどりくフィールドで7試合が組まれている。オレンジアーミーと共に2人がグラウンドで躍動するシーズンもまもなく始まろうとしている。
(おわり)
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