クボタスピアーズ船橋・東京ベイ 岸岡智樹のラグビー体験会 第3回は大会を見据えたビーチラグビーへの挑戦「ラグビーの奥深さを感じてもらえる機会に」
クボタスピアーズ船橋・東京ベイの岸岡智樹選手が5月、ラグビー体験会を開催した。4月に開催してから早くも第3回目、試合の参加に向けた実戦的な取り組みが行われた。
(写真 / 文:白石怜平:以降敬称略)
第3回はビーチラグビー形式で実施
今年の1月から行われているラグビー体験会。岸岡が設立・運営しているラグビーサークル「トモラボ」の参加メンバーたちから挙がったことがきっかけで実現した。
自身もシーズンの最中でも参加し、これまで山本剣士や島田悠平といったスピアーズの現役選手もゲストに招くなど、特別な空間を創り上げている。
第1回ではパスとスクラム、第2回はアタックとディフェンスという流れで、どんどん実戦を意識したメニューにして進化させてきた。
今回の会場は大森ふるさとの浜辺公園。これまでとは趣向を変え、砂浜のコートで行われた。これには体験会立ち上げ時から明確な狙いがあった。第1回目開催時に岸岡は、
「実は去年、ビーチラグビーの熱が上がっていると話題になり、メンバー間でチームを作って今年の夏にやろうという話になりました。
なのでその前に自分たちで体験をつくる目的で、どこか集まりやすい場所で一度ラグビーをやろうということから実現したものになります」
と、トモラボでビーチラグビーの大会に参戦することが目的であった。過去2回での”練習”を踏まえ、ついに本格的なビーチラグビーへの挑戦が始まったのだ。
今回のゲストはビーチラグビー経験者の玉置将也選手
今回も特別ゲストが登場した。スピアーズの玉置将也である。玉置は地元(和歌山県)で高校までビーチラグビーを並行してやっていた経験があることから、白羽の矢が立った。
参加メンバーも第1回、第2回から継続しているメンバーも多いことから開始前から活気が溢れていた。パスの練習を自然に行っており、体験会を通じたコミュニティ形成が早くも実現されていた。
まずはビーチラグビーをするうえで、パスにおけるルールを玉置が説明した。
「ビーチラグビーでは5回パスできるのですが、そのうちの1回だけ前へのパスがOKです。例えば、5回の3回目で前パスをしたとすると、残り2回は後ろ(へのパス)になります。あとディフェンスは、タッチしたら開始するスナッパーから2mがオフサイドラインです」
ここで、ビーチラグビーにはスナッパーという役割があることを説いた。スナッパーとは攻撃のスタート役で、ボールを股下から後方にパスすることで始まる。
これらの説明が行われた後に、まずは4人1組で4つのグループに分かれた。1人スナッパー役となり、受け取ったらボールをパスする練習から開始した。
ウォーミングアップで肩を動かしていたからか、みなスムーズなパスそしてキャッチを見せた。スナッパーも普段と違う投げ方でありながらも徐々に感覚を掴んでいった。
さらに距離を伸ばし、ネットを前にしてランも交えたメニューも取り入れる。玉置がお手本を見せた際は素早いかつ正確なスローイングに拍手が起こった。
スローイングが決まると玉置も「それいい!」と声をかけた。途中、玉置がルール解説とテクニックを伝えた。
「ビーチラグビーは地面にボールを落とした瞬間に相手ボールになります。あと、ディフェンスでの1つテクニックで、パスカットがあります。例えば前パスに来たボールをはたけば、攻守交替になります」
ここで岸岡が「質問です!」と玉置に問いを投げかけた。
「はたいたボールを落としたらノックオンになりますか?」と訊くと、玉置は「ディフェンス側はなりません。ディフェンス側のボールになります。ただ、普通(後ろへ)のパスではたいたらダメです。上から投げるボールのみです」と回答した。
続いてはいよいよ実戦形式へと移っていく。2組ずつで試合形式の練習を開始した。トライが決まると、みんなで「ナイス!」と声を掛け合い、全員で拍手するなどお互いを讃え合った。
実践を重ねた後、ビーチラグビーでトライを獲得した後のプレーについて玉置が解説した。
「トライをすると3点です。その後にエキストラというプレーが始まって攻撃3人・守備2人で制限時間15秒でトライを取りに行きます。そうするともう1点追加できます」
エキストラを終えるといよいよ全員が1つのコートに集まり、5-5での試合を行った。玉置から教わった内容を即実行へと移し、次々にトライを決めていく。
また攻守交替のタイミングも理解し、すぐにスナッパーがパスを送るなどスムーズなゲーム運びが行われた。トライ後のエキストラで15秒という短い間ながら得点を挙げ、ここでも全員で好プレーを讃えた。
2時間が瞬く間に過ぎて、第3回も無事に終了。最後はスピアーズでやる締めで手を叩き笑顔溢れる会になった。参加者の方もこれまでの体験を踏まえて、
「今までの流れがつながっていて、練習してきたことを活かせました」
「2回参加してきて、ここで実践ができました」
「ビーチラグビーもまたやりたい」
という声を聞くことができた。
”新しいエッセンスを加えた”第3回に
終了後、まずは玉置に振り返ってもらった。
「もう本当に楽しかったです。皆さんにも楽しんでいただけたみたいで何よりでした。あとは、飲み込みが早くてすごくびっくりしました。直接会話しながら交流できるのがいいですよね。
あと、ファンの方やラグビーが好きな方たちと直接関われるのがとても嬉しいです。ラグビー・ビーチラグビーを通して触れ合えるので、すごく貴重な時間でしたし、今日僕も参加できて良かったと思います」
初めてビーチラグビーに取り組んだことを踏まえて、どんなことを吸収してほしいと考えているか、ここで訊いてみた。
「ビーチラグビーやラグビーが楽しいと思ってくれるのが一番です。これまでのタッチラグビーに加えて、ビーチラグビーという新たな体験ができたと思うので、楽しいと感じてもらえたら僕も嬉しいです」
そして岸岡にも感想を伺った。
「すごく面白かったです。第3回では違うラグビーに触れてみようということでビーチラグビーをやりました。
多くの方は過去2回経験してラグビーを知れたと感じていますが、また違う楽しみ方や難しさもあって新しいエッセンスを加えることができた。みなさんにはラグビーの奥深さを感じてもらえる機会になれたと思います。
あと今日はビーチラグビーに精通している玉置がゲストで来てくれて、また違う雰囲気でできましたね。岸岡=ラグビーに印象はみなさんあると思いますが、”ビーチ”はついていないので(笑)、そこに玉置が加わってくれたことで良いコンビでできました」
上述の通り、トモラボでビーチラグビーの大会に出る予定であり、直近でも有志で練習が行われるなど活発に動いている。大会そして、今後の活動の展望を語った。
「まず大会に出ることが直近の目標になりますが、大会に出ても楽しくできればと思います。その先についても、ラグビーの見方・楽しみ方というのはたくさんあるので、奥深さを感じてもらいたいです。
ラグビーの楽しさを知っている人が増えていくことで、人が集まってくる魅力的な場になると思うので、今後も継続していきます」
現在、岸岡は全国を回り子どもたちに向けてラグビー教室を展開している。オフもラグビーと共に過ごし、その魅力をたくさんの方々に伝えている。
(おわり)
【関連記事】
クボタスピアーズ船橋・東京ベイ ホストゲーム最終戦で聖地・えどりくに帰還。圧巻の9トライとメモリアル達成でオレンジアーミーを沸かせる
クボタスピアーズ船橋・東京ベイ 岸岡智樹のラグビー体験会第2回 アタック&ディフェンスから広がる今後の目標「みんなでラグビーの試合にも挑戦していきたい」
「見えない障壁がどんどん壊れていくのを感じた」クボタスピアーズ船橋・東京ベイ 岸岡智樹のラグビー体験会 自らつくるコミュニティから広がる楕円の絆