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帝京大ラグビー部 岩出雅之前監督 26年間の監督生活で培った”体育会イノベーション”「自己反省を行い、一つ一つ意識を変えていった」

3月12日に開催された指導者の表彰式「第9回 ジャパンコーチズアワード」。

2021年で優れたスポーツ指導者を表彰する本イベントの最後には、1月に帝京大学ラグビー部を4年ぶりの全国優勝に導き、勇退を発表した岩出雅之前監督が登場。

本アワードを主催する「一般財団法人日本スポーツ推進機構(NSPO)」の二之湯武史 代表理事と特別対談を行った。今回はその模様を2編に分けてお送りする。

協力:一般財団法人日本スポーツ推進機構(NSPO)

「今年の選手の良さを引き出していこう」

岩出氏は帝京大学ラグビー部の監督を26年間務め、2009年から17年まで全国大学ラグビーフットボール選手権大会で前人未到の9連覇を達成した名将。

教え子にも、堀江翔太(埼玉=旧パナソニック)、流大(東京SG=旧サントリー)、松田力也(埼玉)、姫野和樹(トヨタ=旧トヨタ自動車)ら多くの日本代表選手を輩出してきた。

今年1月に行われた「第58回全国大学ラグビーフットボール選手権大会」で5年ぶりに優勝を果たし、その試合後の会見で勇退を発表した。

また、NSPOの常務理事も務めており、設立時から事業内容の指針の策定に携わってきた縁がある。

特別対談として登場した岩出雅之・前帝京大ラグビー部監督

二之湯代表理事は選手権を現地で観戦していたといい、実際に見た上で「強かったですね。一言で言うと」と率直な感想を語りかけた。岩出氏も「いいパフォーマンスを特に決勝ではやってくれました」と応え、対談がスタートした。

最初のテーマは”勝者のメンタリティ”について。上述の通り、選手権9連覇を成し遂げた一方で、翌18年から昨年まではベスト4に入りながらも優勝は逃していた。

二之湯代表は、「一度確立された”勝者のメンタリティ”を再度つくりなおすのは大変ではないか」という質問を投げかけた。

「勝ちグセ、負けグセという言葉がありますが、負け続けてしまうと、悔しさを超えて沈んでしまいます。そういう意味では、相手もその状態に対してより上に乗ってくるので我々が受け身になってしまう。なので、低迷期になる可能性もありました」と岩出氏は当時の3年間を振り返った。

また、メディアなどからも優勝を逃す年数が経つにつれ「連覇を知らない選手が多いですが」と聞かれることも多かったという。モチベーションの上げ方についてはこう語った。

「(連覇を)知っている・知らない関係なく、今年の選手の良いところを出していこうと。上級生だけが知っていると逆に”良いものを残そう”と指導者からも出てきがちですし、選手も意識してしまいます。

なので、9連覇のことはあまり話には出さずに『今の君たちの良さを出していこう』と考えたのでスイッチを切り替える部分にはなりました」

連覇のことは考えず選手の良さを最大限発揮する意識で臨んだと語る

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