リコーブラックラムズ東京 入替戦は連勝で締めDivision1残留! 来シーズンも最高峰の舞台で巻き返しを図る
5月25日、「NTT JAPAN RUGBY LEAGUE ONE 2023-24 D1/D2入替戦第2戦 リコーブラックラムズ東京(BR東京) vs NECグリーンロケッツ東葛(GR東葛)」の試合が行われた。
BR東京は初戦を勝利し、Division1(D1)残留に王手をかけて臨んだこの試合。シーズン最終戦でもあるこの一戦は相模原のスタンドを黒に染め、攻守に圧倒した試合を見せた。
(写真 / 文:白石怜平)
初戦を勝利し、D1残留に王手をかけた試合
前週の第1戦では40-21で勝利し、残留に王手をかけたBR東京。第2戦は神奈川・相模原ギオンスタジアムで行われた。
BR東京のホストゲームとして行われたこの試合は、「入替戦真黒計画」と題し、ノンメンバーの選手から先着でグッズが配布された。スタンドは黒へと染まり、東京を中心に多くのファンが応援に駆けつけた。
ラインナップは、HOの武井日向主将が第1戦で負傷したため小池一宏が入り、WTBには栗原由太が名を連ねた。
試合開始からBR東京はハードワークで攻め込んでいく。3分にはラインアウトモールからSO中楠一期がインゴールへと決めたように見えたが惜しくもノートライ。
7分にふたたびラインアウトからのモールで相手ゴールへと突き進むとそのまま小池がボールを持ったまま押し切りトライ。幸先よく先制点を挙げた。
その後14分も同じくラインアウトモールで攻め、NO8サミュエラ ワカヴァカがトライ。
18分にはスクラム選択からパスをつなぎCTB池田悠希がボールを前進させると、後方の位置していたFLアマト ファカタヴァにパス。そのまま中央に飛び込んでグラウンディングを決めた。
さらに攻撃の手を緩めずFBアイザック・ルーカスとNO8ネイサン・フューズも得点を挙げ、レギュラーシーズン幾度となく見せてきたパフォーマンスをここでも発揮した。
31-0と大きくリードして、前半を終えた。BR東京はここで円陣を組んだ。松橋周平ゲームキャプテンは、その意図を試合後に語っていた。
「グラウンドからロッカーに戻る前に、1回チームとしてコネクトしてから戻ろうということで、今シーズンから取り組んでいます。グラウンドで起きたことを修正するために、(修正点を)しっかりシェアしている」
この試合については、カウンターアタックを多く受けていたことをその場での反省点に挙げており、
「レメキ(・ロマノラヴァ)選手やトム マーシャル選手のカウンターアタック、この2人に対してどうディフェンスするかをもう1回確認しました。ロッカーではユニットに分かれ、FWはセットピースなど、BKはエリアやシェイプなどの話をして、最後に一緒に気合を入れて臨みました」
後半も衰えぬ勢いで快勝 D1残留を決める
後半もBR東京の攻撃は途絶えることはなかった。ルーカスがGR東葛のディフェンスを潜り抜ける長距離のランでスタンドを沸かせると、アマト ファカタヴァにつないでグラウンディング。この試合2トライ目で後半最初の得点を挙げた。
22分にはCTBロトアヘアアマナキ大洋が抜け出すと、パスを一人挟みSH南昂伸へ。そのままゴールラインへ一直線に走り抜け追加点をマークした。
BR東京の最後まで全力でプレーする姿勢はシーズン最後まで貫かれた。武井が離脱の際はゲームキャプテンとしてチームをけん引し続けてきた松橋も33分にトライ。LOマイケル ・ストーバーグも決めるなど計55点を記録。
GR東葛に1点も与えず完封勝ちを記録し、入替戦は2連勝。来シーズンもDivision1に残留することが決まった。
試合後は、松橋ゲームキャプテンと西辻勤GMが挨拶した。西辻GMはファン、GR東葛、試合開催に協力した方々に感謝を述べた。
「今日のプレッシャーを乗り越えたチームはより強くなります。必ず来シーズン、新しく生まれ変わるブラックラムズをお見せしたいと思います。選手にプレッシャーをかけてください。今シーズンのご声援本当にありがとうございました」
試合後の記者会見
ピーター・ヒューワット ヘッドコーチ(HC)
「選手のことを思うと、今日の結果はすごくハッピーです。ファンのみなさまにもようやく、今シーズンずっと求めていたプレーを見せられたことがうれしいです。
今日の自分たちのチャレンジは、できるだけ80分に近い時間で、自分たちのベストパフォーマンスを見せ続けることを目指していました。80分間ではなかったですが、今までで一番近づけたと思います。
シーズン当初はこういった順位になるとは想像していなかったのですが、若いチームにとってプレッシャーの掛かる試合を2試合経験できたことはこれからにつながると思います。
来シーズンに向けて自信にしてほしいです。会社やディビジョン1に残れる選手たち、みんなのことを思うとハッピーです」
──アマト・ファカタヴァ選手が2トライ。攻守にわたって活躍しましたが、どう評価しますでしょうか?
「今シーズンの彼のベストゲームだったのではないかなと思います。ラグビーワールドカップから戻ってきたほとんどの選手たちがそうだと思うのですが、シーズン当初は疲れもあります。
身体的なものもそうですが、日本を代表することが初めてで、ラグビーワールドカップも初めて。かなりメンタル的にも疲れたと思います。でも今日は以前の彼らしさが見られたのではないでしょうか。
パワフルさや、クイックさ。アマトのできること、ワークレート含めマツ(松橋)とサム(サミュエラ・ワカヴァカ)とのバックロー3人がよく動けていたと思います。
このメンバーを今シーズンもっと長く使いたかったのですが、怪我という意味でもタフなシーズンではありました。三菱重工相模原ダイナボアーズ戦あたりからこのメンバーでうまく連係も取れたので、良かったのではないかなと思います。来季につながると思います。
──フォワードの控えが6人だったが、今日のゲームがフォワードバトルになるという想定があったからでしょうか。それともけが人などが影響したのでしょうか?
「両方あるかと思います。フォワードパックでアドバンテージを作れると思いましたし、フォワードはモールやスクラムなど仕事量も多いので。ワークレートが高いぶん、疲労も溜まります。
なので、エキストラにフォワードがベンチにいるといい、というところでした。またバックスに何かあれば、ブロディ(・マクカラン)や、アマトもWTBでプレーしたこともあります。十分カバーできるだろうと思いました」
松橋ゲームキャプテン
今週の試合に向けては、「スコアをゼロに抑えて勝とう」と自分の方から言ってきました。そのためには自分たちのプロセスからはずれないこと。ディフェンスでしっかりプレッシャーかけ、アタックでも自分たちでやるべきことをやる。そうすることでスコアゼロが達成できると思っていました。
相手のミスで助けられた部分はかなり多かったですが、結果としてゼロになったのは誇れる結果です。入替戦という難しい試合ではありましたが、自分たちのやるべきことにフォーカスして戦えた2週間でした。
80分間を通じて、自分たちがやろうとしていることが実行できるように。フォーカスに対してしっかり実行できるように。来季は個のスタンダードを上げ、チームとしての力を上げていきたいです。
―レギュラーシーズン最終節で1年間やってきたことを見せて勝ちたいという言葉があった。有言実行でしたが、集大成として今日見せることができたものは何でしょうか
「今シーズンは自分たちのDNAとしている”泥臭さ”というものを体現しようと話してきました。どの試合でも、それができているシーンは多くありました。ただ、それを一貫して続けることができていなかった。
例えば30分まではできたが、残りの時間はできていない。60分までは完璧だったが、そこからできないというように、ゲームを最終的なところまでコントロールできていなかったです。
でも入替戦では80分間を通して、しっかり自分たちのDNAを見せて、泥臭いプレーをどんどんやっていこうと話し、取り組むことができたと思います。
―第1戦に勝って臨んだこの試合の準備でのポイントは
第1戦は勝ったものの、まだ相手にやれると思わせて試合を終えてしまった。ヒューイ(ヒューワットHC)からもミーティングでは「ドアが閉まりきっていない。少し開いている」っていう話がありました。
僕たちはそれをしっかり閉じる=しっかりシャットするために、やるべきことをしっかりやって挑もうと考えた。そういう姿勢が実行力につながりました。
快勝で終えたシーズン。来季はまた新たなブラックラムズで最高峰のDivision1の舞台で頂点を目指す。
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