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リコーブラックラムズ東京 シーズン最終節 ”黒羊の祭典”は過去最多動員を記録しスタンドを黒く染めるも勝利には届かず

5月5日、「NTT JAPAN RUGBY LEAGUE ONE 2023-24 第16節 リコーブラックラムズ東京(BR東京) vs トヨタヴェルブリッツ(トヨタV)」の試合が行われた。

シーズン最終節、ホストゲームとなった秩父宮ラグビー場には16,951人が駆けつけ、過去最多となる動員数を記録した。

(写真 / 文:白石怜平)

ホストゲーム最終節は”黒羊の祭典”

この日は「黒羊(ラムズ)の祭典」と題し、指定席は事前に完売するなど早くも盛り上がりの気配が生まれていた。

会場外では縁日が開かれ、ノンメンバーの選手はステージでのトークショーに登壇し、入場時はラムズファミリーを迎えるなど数々のイベントでおもてなし。

会場の外では多くのイベントが行われた

スタンドは16,951人のファンが来場し、前年ホストゲーム最終節の11,060人を大きく超える動員を記録。チームの運営努力が魅力を引き出した。

試合前からスタンドが黒に染まった

試合は開始直後の前半3分に早くも動いた。BR東京が反則でゴール前ラインアウトを与えると、右中間でモールが組まれた。トヨタVが前へと押し込んでいくとサイドにボールが渡り、右隅でWTB和田悠一郎がトライを決めて先制した。(ゴール失敗)

トヨタVの和田が先制トライを決める

逆にBR東京は、この日スターティングラインナップに名を連ねたCTB池田悠希が強いフィジカルを見せ、前進。

さらにNO8ネイサン・ヒューズが一気に突進すると、左へとパスが回りCTBロトアヘア アマナキ大洋がグラウンディング。5分で同点に追いつきスタンドからはひときわ大きな歓声が上がった。

ロトアヘア アマナキ大洋が早くも同点トライを決めた

18分にはHO大西将史のキャリーがアドバンテージとなり、BR東京がペナルティキックを選択。SO中楠一期が決め3点をリードした。

その後は3年ぶりにピッチに帰ってきたWTB山村知也が軽快な長距離ランを見せ、さらにWTB栗原由太とアマナキ大洋の二人が懸命なディフェンスで得点を許さなかった。

34分に勝ち越されるも、8−12とほぼ互角の展開で前半を終えた。

栗原由太が体を張って相手の得点を防いだ

後半はトヨタVの猛攻に遭い、5トライを許す

後半も序盤は両者譲らない展開となった。動いたのは12分、BR東京が得意のモールでゴールラインへ攻め込むとヒューズが押し切りトライ。再びリードを奪い返し、秩父宮を再び沸かせた。

しかし、ここからトヨタVが猛攻撃を開始した。シオサイア ・フィフィタがディフェンスをかい潜り一気に走り込むとPR須藤元樹がトライ。

さらにこの試合で日本でのラストゲームとなるボーデン・バレットがキックで前にボールを送るとFL古川聖人もトライ。古川はこの試合、途中出場ながら2トライを決める活躍を見せた。

SHアーロン・スミスも2トライを決めるなど後半28分からの約10分間で21得点をマークしたトヨタVは一気に試合の主導権を握った。

トヨタVが後半の約10分間で5トライの攻撃を見せた

BR東京はヒューズが2トライ目を決めるも及ばず、過去最多動員を記録した最終節を勝利で飾ることはできなかった。

なお、この試合でLOロトアヘアポヒヴァ大和が通算100キャップを達成。FB伊藤耕太郎とPR津村大志はリーグワン初キャップを果たした。

試合後の記者会見

ピーター・ヒューワット ヘッドコーチ(HC)

まずはトヨタVさんの勝利に、おめでとうと伝えたいです。60分付近までは13-12でしたが、最後の20分はアーロン スミスなどが変化をもたらしてゲームのテンポが上がり、我々の選手たちにも疲れが見えていました。

(相手にとって)いい状態で、スペシャルなプレーヤーが入ってきたというゲームでした。

60分までは本当によく戦いましたし、今僕の隣に座っている松橋も素晴らしかったです。あと若い選手たちにとってはいい学びになったと思います。

勝つためには80 分間ずっと高いレベルを続けなければいけないですが、できなかったときにどうなるか。辛い思いをしながら、それを経験することも必要なことではないでしょうか。

ポヒヴァ(大和)が100キャップを達成したということで、彼にとっての今年1年は簡単ではなかったですが、その中でレジリエンス(耐久力)を見せ続けた。よくファイトして、このチームが自分にとってどれだけ大切なものであるかを行動で示してくれました。伊藤耕太郎と津村大志は今回がファーストキャップでした。大志は想像していたかたちではなかったかもしれないが、その中でよくやってくれたと思います。

—今シーズンは“BREAKTHROUGH”というスローガンを掲げてきましたが、どんな点にチームの成長を感じましたか

若い選手たちは、”ブレイクスルー”という形は取れたのかなと。最近はルーキーやアーリーエントリーの選手がメンバーに絡んできていて、すごくポジティブなストーリーができています。

今は痛みをともなっていますが、彼らがこれから成長していき、それをマツ(松橋)や(武井)日向のようなリーダーが引っ張るかたちで前進していければ、すごくいいチームのベースがつくれると思います。

ここからの3週間は、とにかく自分たちが日々成長していくことが大事です。個人レベルでそれぞれが成長を果たしていくことで、チームにとってのプラスとなり、チームを強くしていくことに繋げていきたいです。

今日は16,000 人を超える方々が秩父宮に来てくださったことに感謝しています。すごくいい雰囲気の中でプレーができました。本当にありがとうございました。

—WTB山村知也が復帰を果たしました

それもブレイクスルーストーリー。彼は2年半ほどプレーしていなくて、その間に膝の手術を2回しています。暗く長いトンネルから抜け出して、今日みたいに実際にグラウンドに立って、パフォーマンスしてくれたことを誇りに思います。

(選んだのは)練習試合や練習でのパフォーマンスもありますが、性格もです。泥臭さを持っているので。あとは、明治大学出身の選手なので(同じ大学の)松橋が「絶対に使ってほしい」と言ったからかな(笑)。

松橋周平ゲームキャプテン

ありがとうございました。やはり負けるのは悔しいです。たくさんの方々に来ていただいた試合でもあり、勝ちたかったです。勝つチャンスもあったと思うので。

残り20分で相手に勢いをもたらしてしまい、ああいう形になってしまったのは本当に悔しいし、そこの差は大きいです。ラスト20分というのは、リザーブ含めた選手たちが集中して、自分たちのやるべきことにもう1回戻れるのかが、すごく大事なのだと思います。

今週はチームとして、相手よりも自分たちにフォーカスしてきました。ディフェンスでも、アタックでも、僕らが相手に対し何をするか。そのための正しいプロセスはどういうものなのかを常に言い聞かせながら準備しました。

相手のプレッシャーもあったが、そこについては切れずに対策できていたとは思う。

若手が入ってきて、チームにいい勢いをもたらしてくれたというのも今日のポジティブな要素です。ただ80分通して勝たなければいけない。そこはしっかりブラックラムズとして変えていかなければいけないので、残り2試合は80分間容赦なくやり続けたい。

—上位チームとして参加する入替戦をいかに戦うか

不安やプレッシャーはない。僕らは今年1年、ちゃんとやってきた部分があるので、結果としてこういう順位になってしまいましたが、僕ら自身が D1でしっかり戦えることは証明できていたと自負していますので、それをしっかり見せることです。

フィジカルだったり、スキルだったり、プレッシャーの中でもこういうことができるのだというのを見せることが大事だと思っている。もちろん相手はD1が懸かっているので、100%で来る。でも、自分たちが相手に何をするか。自分たちにフォーカスする。今年1年やってきたことを見せ、勝ちたいです。

今週末から入れ替え戦が始まる。D1残留に向けてBR東京の最後の戦いが始まる。

(おわり)

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