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【特集】戦場への帰還 ~不屈の精神と長き闘いの記憶~埼玉武蔵ヒートベアーズ 由規兼任コーチ 第3回 伝えたいメッセージにあったある投手との共通解とは?

経験から語る数々の助言

また、さまざま得られた教訓の1つを明かしてくれた。それは、度重なる故障を経験したことに基づくものだった。

「色々な箇所を怪我して思ったのは、『身体ってごまかしがきかない』ことです。1カ所怪我すると、そこを庇って違うところに代償が来る。

大元の痛みが出ている場所というのは、どこかの身体のバランスが崩れてるからそこに負担が来ているわけなので、リハビリの仕方としては、痛みを抱えてない場所のトレーニングもしっかりと取り組んだ方が良いということです」

自身は右肩を故障し、リハビリに励んでいた。ここでは怪我をしている肩だけのリハビリや治療だけでは足りないということだった。

リハビリ中のトレーニングについても気づいたことがあった

「肩もトレーニングをするのですが、肩が痛いからと言って肩だけを治療しても痛み自体は軽減されると思いますが、競技のパフォーマンスとしておそらく上がりづらいんです。

肩が痛かったら、あえて肩以外のところだけを治療してもらって、それで次の日どれだけパフォーマンスが上がっているかの確認もすごく大事だったりします。あえて痛みが出てるところを治療しないで1度練習してみると、『身体の使い方ってこうなのか?』と気づくきっかけにもなるかもしれないので」

由規は11年、肩を怪我する前の春先に左の脇腹を痛めていたという。この年は震災で地元が被災した。オールスターが仙台で開催されることになり、どうしても投げたいとアピールのため無理した部分もあったという。

そして庇っているうちに右肩へと負担がかかり、さらに翌12年のキャンプで左膝を故障。前に体重が乗らなくなり、肩でキープしていたことから更なる悪化を招いてしまった。

「そこをしっかり治してなくて、無理して投げ続けてしまったので結局肩に来てしまった。今はそれが原因だったとすごく感じますね」

「今は知識を増やして、試合で発表する場がある」

アスリートの中でも同じ怪我や長期のリハビリと闘っている選手、そしてこれから闘おうとしている選手もたくさんいる。そんな方たちに伝えることがあるとしたら、どんなことを伝えたいかを訊いた。

「己を知ることに尽きると思います。自分の身体を知ることによっていろんなやり方、引き出しが無限に広がっていきます」

この引き出しは、今も増やし続けている。指導者として活動する上においても増えすぎることはないと考えている。

BCリーグでは選手兼任で投手コーチも務めた

「今独立リーグでコーチとしてもやっていますが、今トレーニングやリハビリの仕方はNPBにいた頃よりも興味を持って勉強もしています。そういう勉強を続けないと後輩たちにも伝えられないので。

いろんな人の話を聞いたりとか、情報量も多いので調べてみると『こんな方法もあるのか』など、自分がやってきたことと照らし合わせることもできます。言い方は変かもしれないですが、自分の身体を実験台に使う感覚です。知識を増やして、それを試合で発表する場がある。これはすごくいいことだと思います」

つづく

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