兵庫ブレイバーズ 久保康友 グラウンドで感じた独立リーグの課題とNPBを目指す選手たちへ伝え続ける想いとは?
「他の選手を見に来ていたとしても”自分をアピールしろ!”」
ブレイバーズ以外にも、今独立リーグでプレーしていて、NPBを目指す選手は数多くいる。
この話題の最後に、NPBに行くために今独立リーグの選手に必要なことを問うてみた。ここでは、久保が最も力を入れて話をしてくれた箇所の一つである。
「凄い球を投げることや遠くに打球を飛ばすといった技術は当然必要になります。ただ、現時点でドラフトにかからなかったという事は、まだスカウトに認められていないということじゃないですか?」
と、まず最初に前提を示したことを踏まえて、こう話した。
「技術だけじゃなくて後はやる気。『自分がどんなことをしてでもNPBに行きたい!』っていう選手がどれだけいるかなって僕自身思うんですよね。技術が足りていないのをどうカバーをするのかとなると、後はガツガツする気持ち。
要は『技術は足りていないけど、やる気はあります!チャンスが少しでもあれば僕もどんなことをしてでも入りますよ』って言う気持ちだと思うんですよ」
NPB・独立リーグの両方でプレーし、それぞれの選手を見ている中で感じたことである。
少し辛口かもしれないが、「独立リーグの選手を見ていても、NPBに行った選手と同じ感覚でプレーをして、ドラフトにかからなかったら”残念だなぁ”となってしまっている感がすごくある」という。
だからこそ、今の立ち位置に気づいてほしい。そんな想いから若い選手たちに常に伝えていることがある。
「選手によく話してるんですよ。『スカウト来ていたら自分をアピールしろ』と。後は『自分をまず覚えてもらって、自分を全部アピールしろ!自分なんてとか、恥ずかしいなんて思うな!』ってね。本当にNPBへ行きたかったら絶対覚えてもらえるように、毎回顔出して挨拶に行くぐらいじゃないと伝わらないです。
『他の選手を見に来てるかもしれないけども、僕はNPBに何としても行きたいので見てくださいと。背番号は何番です!』って言う位じゃないと。技術が足りないのに何でカバーするんだって話なんです」
NPBのスカウトがどんなところを見ているのか。久保もそれを知っているからこそ、伝える言葉に揺るがない説得力が伴っている。
「スカウトってこういった姿勢を見ているので。『絶対自分やりますから!獲っていただいたら絶対損をさせないです!』と言う方がまだ獲ってみようと思うじゃないですか。
技術は確かに足りないけど、『彼だったら、このハングリー精神をNPBの野球漬けの環境に持って行けたらどんどん吸収してくんじゃないか』って可能性を見出すんですよ。逆に野球に真摯に取り組んでいる人じゃないとスカウトには見抜かれるんです」
自身もそのスカウトに見出され、ロッテに指名してもらった。そしてNPBに13年間在籍しさまざまな選手を見てきた。最後に改めて語り、話題を締めた。
「とにかく行きたい思いを前面に出してアピールをして、それを行動に移すしかないと思うんですよ。そこに技術がついてくれば指名してくれますけども、技術ってなかなか練習してもすぐ身に付くものじゃないのでコツコツやっていくしかないです。その中できる事は何かといったら存在のアピールです、いかにやる気があるかです」
今、未来の球界を担うかもしれない選手たちの手本としてマウンドに立ち続けている久保。では、なぜNPBで13年もの間活躍できたのか。1年目からの軌跡を追っていく。
(つづく)
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