「僕の中ではすごい得だと思っているんです」埼玉武蔵ヒートベアーズ 由規投手兼任コーチ 自らが感じる現在地そして未来のNPB戦士へのアドバイス
BCリーグ・埼玉武蔵ヒートベアーズから楽天モンキーズに移籍し、台湾リーグへ挑戦することになった由規投手コーチ兼投手。
ヤクルト・楽天と13年間NPBでプレーし、独立リーグを経て海を渡り今も現役として投げ続けている。
全6回に亘るロングインタビューの最終回は独立リーグで感じたNPBとの違い、そして今後の野球人としての目標などを語ってもらった。
(取材協力:埼玉武蔵ヒートベアーズ、取材 / 文:白石怜平 ※肩書きは当時・以降敬称略)
「まだお腹いっぱいにはならなかった」トライアウトに挑戦
20年に楽天を退団することになった由規はNPBでの現役続行を目指し、トライアウトを受験した。
19年に地元である楽天に移籍し、この年の本拠地最終戦で481日ぶりの一軍登板を果たした際、「”まだやりたい”と思わせてもらった試合」と語るほど忘れられないマウンドになった。
退団が決まった際も、「まだお腹いっぱいにはならなかった」と現役続行を目指した。
「怪我をしていた時期も長かったので、やれるとこまでやりたいと思いました。ただ、プロの世界は自分でやれると思っても周りが評価するものですので、評価されなかったら獲っていただけない。
なのでそこは割り切ってはいました。今もですが、現役を続けている理由というのは純粋に野球がしたいという想いです」
残念ながらNPBの球団からは声はかからなかったが、社会人や独立リーグのチームから届いたオファーの中から最終的にベアーズへの入団を決めた。
21年は、早速開幕投手を務め6回1失点と好投し、勝利投手になった。快調に白星を重ね、4月と5月の2か月連続で東地区月間MVP(投手部門)に選出された。
6月終了までに8勝を挙げる活躍を見せ、同地区の最多勝利をマークするとともに、チーム創設初となる地区優勝の原動力となった。
NPBへの復帰を志していたが、オファーはなくこの年限りで復帰という目標にはピリオドをつけた。昨年からは投手コーチを兼任することになり、指導者としてのキャリアもスタートした。
「楽天を退団した時は”NPBに戻りたい”という気持ちで飛び込んだのですが、掴むことはできなかった。なので21年で区切りをつけました。
昨年からコーチを兼任することになって、野球のスタイルが変わりました。現役をやりながら選手に伝える立場なので、これも経験です。日々勉強になります」
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