「Matsui 55 Baseball Foundation」設立のルーツ(前編) 松井秀喜さんが8年間贈り続けるメッセージ「自分の好きなものを見つけてもらい、そこ向けて一生懸命に」
「何か一つ好きになって、そこに一生懸命頑張ってほしい」
野球教室はこの約8年で24回行われてきた。(※NPO法人設立前に一度ニューヨークで開催)800人以上の子どもたちに夢や希望を与え、グラウンドで共に汗を流してきた。
白井さんは、松井さんがファウンデーションにおいて抱いている想いを明かしてくれた。
「子どもたちに野球を好きになってもらって、大人になってもその想いを持ち続けてほしいというのが一番です。ただ、今の時代は野球やスポーツのみならず、さまざまなエンターテインメントがあります。
その中で何かを好きになってもらうことが重要ですし、その大切さを子供たちに知ってもらいたい。松井の場合は野球が大好きで、それを全うしたことで今の自分があると考えています。
何か一つ自分の好きなものを見つけてもらって、そこ向けて一生懸命頑張ってほしいと言うメッセージをいつも贈っています」
松井さんを語る上で欠かせないのはその人間性。松井さんの心温まるエピソードは、少年時代のものから数多く語られてきた。そういった想いもファウンデーションに込められている。
「松井は自分がプロ野球人生を全うできたのは、ファンの皆さんのおかげというのを今でも一番に思っています。ファウンデーションは、そのファンの皆さんに向けての恩返しというのも大きい意味を持っています」
「子どもたちにとってもいい思い出に」
ファウンデーションの活動を通じて、子どもたちそしてその親御さんからのフィードバックも届いている。白井さんもその手応えを語った。
「参加したことをきっかけに、子どもたちが野球をさらに好きになり、打ち込めるようになったというお言葉や、野球をやり始めたなどの声を多くいただきました。
そういった声を聞くとやってきてよかったと心から思います。参加者を始め、サポートいただくボランティアさん、そしてメディアの皆さんにも感謝しています」
松井さんにももちろん、そのフィードバックは届いている。野球教室を行うと都度こんな言葉を寄せてくれるという。
「松井は、『子どもたちがせっかくに足を運んで参加してくれているので、いい思い出にしてほしい。僕も一緒に野球をすることで、笑顔を見れるだけで本当に嬉しい気持ちになる』と毎回話しています。子どもたちが笑顔で一緒に野球をやれているというのは、松井としても毎回喜んでくれています」
この4月で設立から9年目を迎えた。9月にはチャリティゴルフの開催など、活動は続いていく。今後の活動について白井さんはこう述べた。
「掲げた理念は変わらず、地道に継続的にやっていきたいと思っています。この活動を続けることで、子どもたちに野球を好きになってもらって、長くプレーを続けてもらいたいですし、もしプレーをしなくなったとしても、野球を好きでいてもらえるような手助けができる存在でいたいです」
ファウンデーションの設立や松井さんとのやりとりについて語っていただいた。だが、松井さんとの会話にはまだエピソードが残されている。次は白井さんと松井さんの初めての会話などを交えて紹介する。
(後編へつづく)