スポーツ×福祉 野球ボールが繋ぐ障がい者の社会貢献への道筋

現役プロ野球選手やOBは野球界・地域に還元するために、それぞれがアイデアを凝らし、社会貢献活動を行っている。

こうした活動は野球関係者にとどまらない。それは野球界の域を超えてさまざまな形の支援が存在している。

今回はスポーツ×福祉をテーマに、ある障がい福祉施設による活動を紹介する。

野球ボールを通じた障がい者の就労支援

今回協力いただいたのは「社会福祉法人元気村 夢工房翔裕園(以下、翔裕園)」。

翔裕園は埼玉県鴻巣市にある通所型の障がい福祉サービス事業所。様々な生産活動を通じて就労に向けた訓練を行い、就労が出来る施設を目指している。ここではその一環として、野球を通じた活動を2つ行っている。

それは、「エコボール活動」と「アゲインボールプロジェクト」である。

エコボール活動とは09年に始まった施策で、就労支援施設等に通う障がい者の方々が、野球ボールを修繕し再利用するプロジェクトである。高校野球などで使われる硬式球で、縫い目の赤い糸がほつれた部分の縫い直しを主に行っている。
修繕された硬式球は学校に返却され、現在は全国の障がい者就労支援施設等に広がり、42の事業所が連携。高校や少年野球など計381チームより修繕依頼を受けている。

ボールの修繕活動で障がい者の就労支援を行っている

一方、アゲインボールプロジェクトは15年12月から開始。昨年まで中日ドラゴンズでプレーしていた吉見一起氏が立ち上げた。全国から使用できなくなった硬式球を回収し、社会福祉法人元気村 夢工房翔裕園を利用する障がい者の方々がボールの革を張り替え修繕している。糸の縫い直しとは異なり、力が必要でかつ革の位置を細かく修正することが求められるためより作業の難度が高い。

修繕した硬式球は吉見氏が購入し、全国の少年野球チームに寄贈している。本施策は、NPO法人ベースボール・レジェンド・ファウンデーションと連携して行われている。

元中日・吉見氏が立ち上げた「アゲインボールプロジェクト」

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