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「試行錯誤や遠回りすることも将来への経験」現役監督と語る”高校野球の未来とスポーツマンシップ”(後編)

1月20日、一般社団法人日本スポーツマンシップ協会によるオンラインセミナー「高校野球の未来とスポーツマンシップについて語ろう」が開催された。

慶應義塾幼稚舎教諭で慶應義塾高校の監督である森林貴彦氏をゲストに招き、中村聡宏・同協会代表理事会長(千葉商科大学サービス創造学部准教授)とトークセッションを行った。

ここまで、森林氏が高校野球の監督に就任してから(2015年〜)7年間の間で起こった自身やスポーツ界における変化などをテーマに展開。

後編では、保護者の方達へのメッセージや昨年導入されたリーグ戦についての手応えなどをテーマに語り合った。

(取材協力:一般社団法人日本スポーツマンシップ協会、文:白石怜平)

子どもたちに必要な「自己肯定感」

前編でも触れたが、森林氏は教師として小学校1年生の担任として教壇に立っている。その点を踏まえ、中村氏は特に小さな子供たちが楽しむために工夫していることはあるかを尋ねた。

「自己肯定感です。”勝たないと誉められない”だと勝つことに集中してしまう。勝つに至るプロセスで、1つのプレーや準備などもあります。そこをしっかり見て、『あの声がけいいね』『あのプレーが良かったね』などと、一人一人をしっかり見てあげることが自己肯定感につながります」

前章の最後で議題に挙がった”勝利至上主義”。プロセスや将来などは考慮されづらい指導法について、かねてから両者もその考えについて異議を唱えている。そこにつながる部分として森林氏は続ける。

「勝つだけだと『自分は下手だからやらなくていい』という気持ちになってしまいます。上手くなるタイミングは個人差がある。野球に限らずスポーツを継続してもらうには、スポーツをしている自分に対する肯定感を育てないといけないと思うので、結果だけを見てはいけません。

あとは心理的安全性。教室は”間違うところ”だと。野球にしてもスポーツにしてもミスするものだし、グラウンドは”失敗するところ”という前提じゃないと『ミスしたら叱られる』『負けたら責められる』では辞めたくなりますよね。そこをどう肯定するか。もっとうまくなりたいという気持ちにさせることだ大事だと思います」

中村氏は、”スポーツマンシップ”を「尊重・勇気・覚悟」と定義している。そこでは、ただ定義を覚えるだけではなく「実践できるか」が大事と強調する。

「例えば一歩踏み出した勇気に対して励ますなど、行動に結びつけて誉めることが大事です」と自己肯定感を育むアクションについて述べた。

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