スポーツ×福祉 野球ボールが繋ぐ障がい者の社会貢献への道筋

部員と来園者の交流の機会に

エコボール活動は、翔裕園では13年2月から行われており埼玉県内の高校や大学を中心に提携先を広げている。県内屈指の強豪校である浦和学院高校や東都大学リーグ・亜細亜大学も利用するチームの一つである。

修繕されたボールは返却するため、直接学校に行った際は選手と障がい者の方々との貴重な交流の場となっている。

施設長の百合川祐司さんはこう話した。

「夏休み時に練習見学を兼ねて返却に伺います。従来はビニールテープを巻いていたものが、ほぼ原型になって返ってきますのですごく驚いていますね。あと球児のみなさんは礼儀正しいですから、園の方々もその点を感じて見習って帰ってきます。就職の力になっていると思います」

施設長の百合川祐司さん

このような交流は、若い世代の障がいへの理解やお互いにモノを大切にする意識を高めることにもつながっている。

「障がい者の方がやっているということで、知的・精神障がいがあっても能力はあるという立証にもなります」と百合川さんは自信を持って語った。

また、コロナ禍になる前は、越谷の小中学生の野球チームに修繕体験会を開催していた。エコボール活動で実際に修繕している障がいがある方々が講師となって野球少年たちに体験してもらう機会を設けた。

また今後について百合川さんは、「全国で同じエコボール事業者主催で交流試合を行って、その後に体験会を開くもいいよねという話をしています」と展望を話した。

「関わったチームがいつか甲子園で試合を」

障がい者の就労支援として重大なピースを担う2つのプロジェクト。今後どう発展させていきたいか。2人に今後の目標を伺った。

赤坂さん:「エコボールにつきましては。全国の都道府県に同じような事業所ができて甲子園などいろんな大会で関わったチーム同士が試合することがあればいいなと願っていますし、それぞれ応援し合いたいです。

アゲインボールについては、プロ野球選手と関わるって滅多にないですので、今後も受け継いでいく選手がいることを望んでいます」

佐々木さん「僕はスポーツが大好きです。スポーツを通じた支援をしたいと思い、翔裕園に入りました。今後は就職活動とリンクして、スポーツを通して就労に結びつく、野球に限らず他の競技においてもつながりができればと考えています。なので他に何があるのかを探していきたいです」

就労者との面談を行う佐々木さん

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