筒香嘉智 野球界の未来に向けて提言「変化を恐れず、勇気を出した行動をみんなで行う」
「子どもたちの環境を作るのは大人の腕の見せ所」
続いてのテーマは「甲子園は通過点」という考えについて。近年、主戦級の投手が大舞台で登板を回避ケースが徐々に増えている。
19年7月25日、当時大船渡高校の佐々木朗希(ロッテ)が岩手県大会の決勝で、監督による判断で登板を回避。昨年のセンバツでは天理高校の達孝太(日本ハムドラフト1位)が自ら準決勝での登板回避を自ら申し出た。
大舞台でも登板をしない・させないという意識の変化について筒香はこう答えた。
「達投手について言わせていただくと、『投げなかったのが正解・不正解』ではなく、自分の体調から決断し、意思を伝えられたことが勇気のある行動だったと感じています」
阪長も、「もしかしたらマウンドに上がることはできたのではないかと、周りは感じているかもしれませんがどうですか?」とさらに尋ねると、
「試合に勝てば決勝が見えてくる、チームも(登板を)望んでいたと思います。負けたら終わりのトーナメント大会でエースの期待も大きく、本人もそれを感じたでしょうが、それでも体調の不安を指導者に伝えることができた。その勇気が何より素晴らしいことだと思います」と賛辞を贈った。
今後他の選手においても、自ら登板回避を申し出るという流れが起こり得るかもしれない。そういった傾向が高まることにいて、こう続けた。
「僕自身もそうでしたが、高校生の段階は発展途上です。プロになってからでも毎日体調が万全ということはないので、高校生であれば尚更です。
達投手のようにみんなができることではないので、ぜひ指導者の方にはコミュニケーションを取りやすい環境をつくること・連盟の方々も運営方式の見直しなど大人が知恵を絞る必要があると思います。
子どもたちの環境を作るのは大人の腕の見せ所なので、変化を恐れずに勇気を出した行動をみんなでする必要があると感じています」
阪長も、「忘れてはいけないのは将来あるアマチュアの選手であることで、無理を強いて可能性をつぶしてでもその日の勝利のために行くというのは見直さないといけない」と、最も大切なのは選手たちの未来であると述べテーマを締めた。
(つづく)
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