
「第19回 小笠原道大杯」新・国府台スタジアムで迎えた初の決勝は、長打と小技がぶつかり合うシーソーゲームに
12月7日、千葉県・市川市の国府台スタジアムで「第19回 小笠原道大杯争奪 市川市少年野球大会」(以下、小笠原杯)の閉会式が行われた。
今年は全31チームが参加。約1ヶ月間にわたり、市内の頂点を争う戦いが繰り広げられた。
(写真 / 文:白石怜平)
19年目を迎えた小笠原道大さんの冠大会
小笠原杯は市川市の小学5年生以下の選手を対象とした少年野球大会。巨人1年目を終えた2007年にスタートした。
小笠原さんは現役を引退した15年以降も野球界そして地域の子どもたちのためにと自らの想いで継続し、現在に至る。
現役時代から少年野球と並行して社会貢献活動を行い続けており、09年には身体障害者野球チーム「市川(現:千葉)ドリームスター」を設立。GMという肩書で今も活動を見守っている。
チームは今年地区大会を連覇し、11月2・3日と行われた秋の全国大会では創部初のベスト4に進出する快挙を成し遂げた。
現在は解説や評論活動の傍らで名球会のメンバーとしても精力的に活動している。海外での野球教室に加え、10月には「ダイバーシティパーク2025 in 新宿」にも参加し、多様性あるコミュニティに向けても野球の魅力を伝えた。

なお、今年は「国府台スタジアム」に小笠原杯が帰ってきた。スタート当初からこのスタジアムが決勝の舞台となっていたが、老朽化のため18年を最後に建て替えを行っていた。
3月末のオープニングセレモニーには特別ゲストとして登場すると、挨拶の際には小笠原杯がこの球場で行われてきたことについても述べていた。

3本塁打を許すも、小技と好走塁で市川南スパローズが制覇
この日は決勝戦「市川南スパローズ」と「富美浜イーグルス」の試合が行われた。
試合は初回から点の取り合いとなる展開に。先頭の市川南・松田悠希が二塁打を放ってチャンスメイクすると、次打者・宮﨑功如の送りバントの際に二塁から本塁を突く好走塁で一点を先制した。

しかし、その裏に富美浜が反撃に出る。1・2番でノーアウト2・3塁のチャンスをつくり、3番に入った佐藤がレフトに前へのタイムリーヒット。自らのバットで逆転すると、5番の篠田咲茉が見せ場をつくる。
篠田は思い切り振り抜くと、打球はレフトの頭上へ。篠田は悠々とホームへと還り、ランニングホームランで追加点を挙げた。
その後はシーソーゲームの展開に。市川南はすぐに2点を挙げ追いつくと裏には若山晃生がチーム2本目となるランニング本塁打を放ち1点を勝ち越し。


一方、市川南は4番の中島幸太郎がタイムリーを放ち、1点差で終盤へと移ると5回表に試合が大きく動いた。
市川南はノーアウト2・3塁と逆転のチャンスをつくると、前の打席でタイムリーを放った中島が再びチャンスで右バッターボックスに。逆らわずに右方向へと打ち返した打球は一・二塁間を抜けた。
走者2人が生還しついに試合をひっくり返すと、さらにもう一点を加え5た。規定上90分を超えていずれかがリードした場合は次のイニングに入らないため、5回裏の攻撃が最終回に。

ここまで互いに1点を争っている好ゲームは最後まで続くことになる。富美浜は、4番の木戸大志が左中間へ強い打球を放つと、打球はレフトの頭上を大きく超えたランニング本塁打で1点へと迫る。
チーム3本目となる本塁打でベンチそしてスタンドのボルテージは最高潮となり、逆転の機運も高まりつつあった。

ただ、3回途中に遊撃から投手に回った宮﨑が後続の攻撃を断ち切りゲームセット。市川南スパローズが今年度の小笠原杯チャンピオンに輝いた。

「一つひとつのプレーがかけがえのない経験に」
大会MVPには決勝打を含む3打点の中島が受賞し、小笠原さん直筆のサイン入りバットが贈呈。
また、優秀選手賞には富美浜イーグルスの若山・塩焼ちどりウイングスの清藤暁也が受賞し、バットで作られたサイン入り木製メダルが贈られた。

閉会式では、市川市少年野球連盟の中嶋貞行会長が労いと感謝の言葉を述べた。
「選手のみなさん、素晴らしいプレーを見せてくれてありがとうございました。この大会、ベスト8以降の試合のほとんどが1点差のゲームでした。
1球で勝てた・負けたというその大切さを示してくれた証だと思います。選手の皆さん、結果のみならず勉強など含めてこれからもたくさんのことを学んでいってください」

続けて、この日小笠原さんは所用で不在だったことから、事前に預かったメッセージを場内にて代読された。
「皆さんお疲れ様でした。今回も無事に大会が終了したこと、心より感謝いたします。本日は所用により式に参加できず、申し訳ありません。皆さんにとって大会で一番心に残ったことは何ですか?
ナイスボールやナイスヒットであったり、また悔しいプレーなどもあったことと思います。私はこの一つひとつのプレーがかけがえのない経験になると思っています。
うまくできたことも、うまくできなかったことも、その全てが皆さんの糧になることを願っています。最後に運営の皆さま・保護者の皆さま、そして何より選手の皆さま、ありがとうございました。また、明日から野球を楽しんでください」
場内は拍手に包まれ、19回目の大会を終えた。連盟の五嶌(ごとう)誠司理事長は「常に新しい野球にチャレンジしたい」と、来年に行う取り組みを明かしてくれた。
「1月24日に初めて『市川市野球サミット』を行います。市川市少年野球連盟が主催し、中体連・高野連・千葉商大・中学硬式野球の団体が一堂に参加する会です。
学童野球の関係者(コーチ、保護者)300人以上が参加予定で、各カテゴリーの関係者が共通認識をもっているかの確認や、お互いのことを知って互いの課題を共有しようという目的です。
加えて元千葉ロッテマリーンズアカデミーの元校長である武藤一邦さんもお招きして、講演をしていただきます。
第1回サミットが単なる顔見せ、連絡協議会にとどまらず、国府台スタジアムなどを舞台として市川の野球イベントに発展していけばと思っております」
2026年、小笠原杯は大きな節目の年を迎えるとともに、連盟にとっても新たな一歩を踏み出す一年になる。
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