• HOME
  • 記事一覧
  • 指導 / 教育
  • 横浜DeNAベイスターズ キッズクリエイティブアカデミー「自己進化型組織」を小学生にも展開し、思考力と言語化の習慣を育む

横浜DeNAベイスターズ キッズクリエイティブアカデミー「自己進化型組織」を小学生にも展開し、思考力と言語化の習慣を育む

8月4日〜23日にかけて「横浜DeNAベイスターズ キッズクリエイティブアカデミー 2025 Summer」が開催された。

参加した小学3年生〜6年生の子どもたちが7日間のプログラムを通じて、新たな仲間と共に、自らの「自分の好き・得意」に出会う貴重な機会となった。

本編では、その6日目を特集する。※全2回のうち1回目

(写真 / 文:白石怜平)

球団が構築している「自己進化型組織」を子どもたちに展開

本キッズアカデミーは、横浜DeNAベイスターズが企画した小学生向けのプログラム。

球団が運営する会員制シェアオフィス&コワーキングスペース「CREATIVE SPORTS LAB(以下CSL)」が主催しており、今回は「チームの力」や「自己理解」、「心と身体の成長」のノウハウを展開する機会が設けられた。

ベイスターズでは、選手や監督・コーチも含めた球団で働く全ての人が共通認識を持って「自己進化型組織」を創り上げている。

自己進化型組織とは、環境が目まぐるしく変化する中でも活躍するために必要な、「自らも成長・進化していくような状況」をつくるため、自ら成長・進化が起きるような組織である。

この「自己進化型組織」によって一つになったベイスターズは、グラウンドにおいて98年以来の日本シリーズ制覇を達成。“組織で勝つ”を体現したものだった。

今年からCSLはこの経験を還元する活動を行なってきた。1月そして7月に自己進化型組織を日々の仕事や教育に活用するセミナーを開催した。

1月には「自己進化型組織」の特別セミナーが行われた

そして今回は自己進化型組織の考え方を子どもたちにも展開するため、キッズアカデミーを開講。

単なる学習にとどまらず、「動く・感じる・考える・話す・振り返る」というプロセスを通じて、社会で求められる力を身につけてほしい想いが込められている。

テーマは“ありのままの自分を好きでいよう”

キッズアカデミーは全7回のプログラムが組まれた。今回はその第6回である「自己受容によって本当の自信を手に入れる」にフォーカスする。

講師はHR室 チームディベロップメントコーディネーターの住田ワタリさんが務めた。

住田さんは海外3ヶ国、NPB2球団でトレーニングにおける指導者として活動後、18年からベイスターズで組織・人材開発を担当。

公私含め約60ヶ国を訪れたという海外経験の豊富さと各地にできたネットワークを活かし、世界中のスポーツチームやスポーツ団体との異文化交流や選手派遣プログラムを構築するなど、ベイスターズと世界を繋ぐ架け橋も担っている。

今回講師を担当した住田ワタリさん

住田さんは2日目の「自分と向き合い、感性に気付く」をテーマにした回でも講師をしていたことから、約1週間ぶりの再会となった。

その際お互いに愛称で呼び合うようにしており、参加した7人の子どもたちから“スミワタ”と呼ばれ、お互いに再会を喜んだ。

2日目を終える際に、感性を自分の言葉で表すため「好きなこと・嫌いなこと・行きたい国・就きたい仕事」をまとめる宿題を渡していた住田さん。

一人ずつ発表を行うにあたり、この日のテーマを子どもたちに伝えた。

「今日のテーマは“全てを受け入れる”。ありのままの自分を好きでいようということです」

スクリーンに投影し、“自己受容って何だろう”というお題を子どもたちに問いかけた住田さん。それぞれの反応を受け取った後、子どもたちの想像をかき立てるように補足した。

「別に分からなくたっていいんだよ。そんな質問普段されるものじゃないから。『自分って好きなのかな?』ってこれから考えればいい。今日自分が好きなことって何だろうとか、将来何のお仕事してみたいとか書いてきてくれたと思います。

これは自分が思ったことを書いたのだから、周りに合わせる必要がないし、変える必要もない。自分がそうなりたいと思ったものを書いてきてくれたらOKなので、それを発表しよう!」

テーマは“ありのままの自分を好きでいよう!”

テーマに沿って“なぜ?”を問い続ける

続けて住田さんが「自分のことが好き?嫌い?」と質問すると、「好き」「嫌い」「どちらでもない」とさまざまな反応が返ってきた。

そこから「なぜ好きなの?」などと一人ずつ深掘りをしていき、「運動が得意な自分が好き」「学校でしっかり発言できることが好き」と、子どもたちから根拠が挙げられた。

全員の考えを聞くと、ここで実践したことの大切さを説いた。

「今みんなの答えを聞かせてもらったけども、実はこれが“自己受容”です。

『こういう自分嫌だなぁ』とか、『運動神経がある自分が好き』『人前でしっかり言えるから好き』などと自分で分かってることがすごく大事です。

ここから、『今は嫌いだけど好きになるにはどうすればいいかな』とか、好きだけど嫌いな瞬間が出てきた時に『もう一度好きになるには何をすればいいか』などと考え続けていこう!」

そして前半の発表へ。宿題の一つである「なりたい職業」を全員に共有。「テレビの仕事に就きたい」「幼稚園の先生になりたい」と、自身でまとめてきた夢を語り合った。

住田さんは「テレビの仕事って何がある?」などと、ここでも考える機会を与えると、生き生きとした表情でその理由を語った。

「ベイスターズに関わる仕事がしたい」と語った子は「なんで関わりたい?」と意図を問われると自然と熱い想いが言葉に出た。

「野球を観るのもするのも好きです。選手としては難しいかもしれないけど、ハマスタの熱気がすごいのでどんな時でもずっと応援したいし、どんな形でも関わりたいです」

住田さんは、発表を終えた際に、今後も実践し続けてほしいことを伝えた。

「これからもみんなには自分がなりたい!やりたい!と言えるようになってほしい。なので、後半も言いたいことを伝える時間にしましょう」

前半では『将来なりたい職業について』の発表が行われた

知らないことに当たった時に起こすべきアクション

プログラムを通しての大きな特徴は、住田さんから投げかけられるお題に対して子どもたちが自ら考え、言語化していたことであった。

前半の発表を行なった次は「横浜DeNAベイスターズを考える」というお題を設け、「“横浜”って何?」「“DeNA”って何?」などと各ワードごとに分けて紐解いていった。

ここで住田さんは球団の歴史を振り返りながら展開していった。前身である「大洋ホエールズ」の親会社がどこか、球団は元々どの都道府県をフランチャイズとしてスタートしたかなど、クイズ形式で出題した。

子どもたちは「分からない!」と揃えて答えたが、それは住田さんも想定内。

「そう。分からない質問をあえてしたんだけども『分からない』って言えるのが大事!もっと大事なのは『それ何だろう?』って感じること。

疑問に思ったら、調べるか分かる人に聞く。知らないことをそのままにしないようにしましょう」

質問も多く挙がり、活気が溢れていった

授業の終盤は、「自分の好きなこと・嫌いなこと、行きたい国」についてシェア。

子どもたちの思考力をさらに育むため、行きたい国については発表を聞く側が当てる形式で行なった。

「どんどん質問してもらってヒントを引き出そう!」と呼びかけ、「大陸は?」「その国で有名な食べ物は?」などと、質問にも工夫を凝らし、答えを引き出していった。

頭を存分に使った約2時間のプログラムを終え、住田さんはまとめと共に最終日に向けてエールを贈った。

「これから知らないことにたくさん出会います。その時に『調べる・聞く』というのを進んでやってほしいです。あとは最後にある一番のイベント。今日語ってくれた自分の夢をお母さん・お父さんもいる場で発表してもらうからもう一度準備しましょう!」

参加した子どもたちは2時間の間だけでも自らの発言に対して根拠を持ち、問われた際も常に「〜だと思う」と即答するなど、思考と言語化の習慣が浸透していた。

そして、7日間の集大成として最終日を迎えた。

(つづく)

【関連記事】
横浜DeNAベイスターズ トークイベント「スポーツで育む子どもの可能性」個×チームで促進する家庭の成長

横浜DeNAベイスターズ 日本一を成し遂げた”組織づくり”とは?「自己進化型組織」でつくり上げるチーム改革の方程式

横浜DeNAベイスターズが構築する「自己進化型組織」部長4名によるトークセッションで明かされるマインドセットの落としこみとは?

関連記事一覧