筒香嘉智 野球界の未来に向けて提言「変化を恐れず、勇気を出した行動をみんなで行う」
「多くの選手を育てられ、試合出場のチャンスが生まれる」
会は阪長友仁・NPO法人BBフューチャー理事長の司会で始まった。最初のテーマは投手の球数制限について。
19年、新潟県で1試合当たり1人100球までに制限を設けたことからスタートし、20年からは高校野球全体で球数制限が設けられた。1人の投手の投球数が1週間で500球に達した場合(登板中に達した場合は打者との対戦が完了するまで)、それ以上投げることを認めないというもの。
少年野球においても変化が起こってきており、中学の硬式野球では1日80球というルールが制定され、2日で120球という制限が導入された。かねてから球数制限を導入すべきと提起してきた筒香は、この現状について阪長から感じたことを問われた。
「中学の硬式は7イニング制ですが、1イニングで15球投げたとして5回で75球。ほぼ全ての試合で継投が必要となります。なので、1人の選手が登板過多になることなく多くの選手を育てられ、試合出場のチャンスが生まれるので非常に良いことだと思います」
堺ビッグボーイズで監督を務める阪長も、「私も指導の現場にいますが、完投するケースはないです。指導者の意識にも変化が生まれてきていると感じる」と現場での手応えを述べた。
しかし、何かを変えることは簡単なことではない。古くからの習慣を変えるのは周囲から反発や批判を受けるケースが出てくる。半世紀以上続いてきた慣習を変えることについて筒香は、
「僕も経験がありますが、今まで事例がないことは受け入れられにくい風習があると感じています。そんな中でルールを変えることは多くの批判が寄せられる可能性もあったと思いますし、変化を実現させた連盟関係者の皆さまの勇気はとても素晴らしいです」と敬意を表した。
この日参加した、飯田研二・日本少年野球連盟理事も阪長から感想を聞かれると、
「子どもたちの身体を守るため、18年から試験的に2日で120球の制限を導入してその際のデータを基に議論した。22年の公式大会から正式に採用されるところまで来たのでよかったです」と安堵した。