「テンションであり、プレッシャーではない」WDB日本代表 世界一連覇の大一番を前に主将が説いた”緊張”の意味

MVPは早嶋が2大会連続受賞、長嶋茂雄賞は小寺に

全日程を終了し、閉会式へ。マジックショーなども交え盛大に行われた。閉会の挨拶は元メジャーリーガーのマック鈴木さん。今回参加したアメリカや台湾でもプレー経験があり、各国の選手たちと交流するシーンも見られた。

アメリカ代表全員と記念撮影も行った

そして大会の講評はプロ野球歴代7位の通算284勝で名球会入りし、”史上最高のサブマリン”投手の山田久志さんが務めた。

かつて中日の監督(02〜03年)として指揮を執ったこの場所でマイクの前に立ち、

「今日の試合を見て、各国のみなさん素晴らしい。本当に感動しました。そして何よりもひたむきな姿、チーム一丸となって戦う姿、たくさんの人に感動を与えられたという確信を持ちました。これからもお互い支え合いながら野球を楽しんで続けてください」

大会を講評した山田久志さん

とエールを贈った。そして、次の表彰式では各賞の発表に。MVPは投打で活躍した早嶋が前回に続き2大会連続で輝いた。

「誰も2大会連続でMVPを獲った人はいなかったので、こだわりを持って準備してきました。実現できて自信にもなりました。それと同時に僕らの生きがいでもある障害者野球を支えてくださるスタッフ・ボランティア・応援していただいた人、障害者野球に携わっている方々へ感謝したい大会でした」

早嶋が2大会連続MVPに輝いた

そして、大会名誉顧問を務める長嶋茂雄・巨人軍終身名誉監督の名を冠した賞である「長嶋茂雄賞」が今回初めて制定された。

大会を通じて最も高い打率を記録した選手に贈られる同賞には、小寺が選出された。大会最多の6安打を放ち、打率も.667をマークした。

「本当に嬉しかったです。前回大会では(自身は)不完全燃焼でしたし、今回ももしかしたら代表には選ばれないのではと思っていました。打席の中で1球1球の集中を積み重ねた結果です」

プレゼンターの長島三奈さんからメダルを授与された

その他、各国1人ずつ優秀選手賞・殊勲賞・敢闘賞が選ばれ、日本からはそれぞれ藤川・田中・飼沼の3名が選ばれた。

「早くも頭によぎった」3年後の第6回大会に向けて

終了後に山内監督は、世界一連覇へと導いた心境を語った。

「大変嬉しく、日本代表の選手・コーチ・マネージャーを誇りに思います。全員が一丸となり試合に挑めた素晴らしいチームでした。日本代表に選んで間違いはなかったです」

次回大会はWBCと同じ3年後に予定されている。余韻冷めやらぬ間にも「翌日に海外チームのみなさんを見送りようやく一息つきましたが、次の第6回大会の事も頭を過りました」と早くも次の大会を見据えていた。

最後はナインからの胴上げが行われた

今回盛り上がりを見せた、WDBそして身体障害者野球。しかし、一時的な盛り上がりだけにするのではなく、40年以上続いているこの野球はこれからも歴史は築かれていく。今後について改めて語っていただいた。

「多くの皆さんに球場に足を運んでいただき本当に嬉しかったです。また

SNSで積極的に発信することで障害者野球を知っていただく貴重な機会となりました。

その一方でまだまだ知らない人も多く、障害者野球の認知度を高めていく必要があると考えてます。引き続き、身体障害者やサポートする人たちの関わりが増えていけるよう我々も精進していきます」

SNSでも「パラスポーツも日本の躍進が目覚ましい、今年の日本のスポーツシーンが素晴らしすぎる」「スポーツの素晴らしさを体感した!」などと祝福の声が多く寄せられていた。

日本の野球界そしてパラスポーツに新たな勲章が加わった。

(おわり)

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