「第5回世界身体障害者野球大会」長嶋茂雄さんと身体障害者野球の絆、そして賞に込められたミスターの想いとは
9月9日〜10日、バンテリンドーム ナゴヤで行われた「第5回世界身体障害者野球大会(WORLD DREAM BASEBALL、以降WDB)」。
”もうひとつのWBC”とも呼ばれる本大会は日本が世界一を達成し、3月に行われたWBCとともに”W世界一”に輝いた。
06年に日本の提案から始まったWDBであるが、大会そして身体障害者野球発展の過程にはあの”ミスター・プロ野球”こと長嶋茂雄さんの功績なくして語れない。
今回は、長嶋さんと身体障害者野球そして今回のWDBにおける関わりなどについてお送りする。
(取材協力:日本身体障害者野球連盟、写真 / 文:白石怜平)
第1回大会から大会の委員長、名誉顧問を務める
長嶋さんと身体障害者野球の関係は長く、17年前にさかのぼる。06年に行われた第1回大会では実行委員長、第2回からは大会名誉顧問を務めている。
当時NPO法人・日本身体障害者野球連盟 理事長だった故・岩崎廣司さんは現役時代から長嶋さんの大ファン。
身体障害者野球において何かお力添えいただけないか考えた岩崎さんは、同年春に関係者を通じて委員長就任を打診。長嶋さんに快諾いただいたところからその縁が始まった。
巨人軍の選手・監督として70年近くに亘り、スポーツの垣根を越えて日本の時代を築いてきた”ミスター・プロ野球”。そして、野球以外のさまざまなスポーツや国際大会にも関わってきたことから世界的な知名度も高い長嶋さん。
WDB開催の時には必ず激励のメッセージを贈っている。大会に関わった方たち全員にとって励みになるだけではなく、身体障害者野球の知名度の向上や発展に大きなパワーを与えている。
賞に込められた意味とは?
本大会では、初めて特別個人賞として「長嶋茂雄賞」が制定された。
長嶋さんは巨人の4番として首位打者6回・本塁打王2回・打点王5回そしてMVP5回という輝かしい成績をマークし、王貞治さん(ソフトバンク球団会長)と”ON”としてV9を牽引した。
今回はそんな長嶋さんの打撃にあやかり、特別にトロフィーとメダルを製作。大会を通じて最も打率の高い選手に贈呈した。
それぞれの賞品には細部に意味が込められている。トロフィーは世界大会を意識して地球儀のデザインが頂点に施されている。
そしてメダルは木と金属を組み合わせており、サステナブルを意識。未来のイメージを持ちつつ、東京・多摩産のヒノキ材を使用している。
多摩産と言うのは長嶋さんが現役時代そして引退後も汗を流した「多摩川グラウンド」の場所を象徴するものとして選定した。
多摩産のヒノキでつくられたメダル