
ソフトバンク初のOB戦 白鷹軍・秋山幸二監督が語ったOB戦の意義 試合では「俺が立つしかない」と代打で出場も
3月23日、みずほPayPayドーム福岡で「SoftBank HAWKS 20th ANNIVERSARY SPECIAL MATCH」が開催された。
福岡ソフトバンクホークスが誕生して20年の節目となる記念試合、ソフトバンクホークスとしては初となるOB戦が行われた。
白鷹軍は秋山幸二監督が率いた。試合前にはかつての同僚や教え子の姿を見て感じたことや、歴史をつなぐ意義についてなどを語った。
(取材 / 文:白石怜平、表紙写真:©SoftBank HAWKS)
選手へ伝えた「スポーツエンターテインメント」
秋山監督は、ソフトバンクの監督として在任6年間でリーグ優勝3回・日本一2回へと導いた。
現役時代はこの日対する黒鷹軍の指揮を執る工藤公康監督と共にチームを牽引し、ダイエーそしてソフトバンクと続くホークスを常勝チームへと変貌させた。
今回改めてソフトバンクのユニフォームに袖を通し、「着れる機会はもしかしたらないのかなと思っていた(笑)」と喜びをのぞかせた。
かつて共に戦ったメンバーたちとも久しぶりに顔を合わせ、近況について語る機会もあったそう。「懐かしいよね」と語りながらこう続けた。
「それぞれ野球に携わっている人もいれば、違うことをやっていて自分でビジネスをやってる人もいる。活躍の幅を広げていて本当にすごいなと思いますよ」

試合前の練習では、松田宣浩選手が現役時代から変わらない豪快なスイングで何度もスタンドへ運び、早くも”熱男ポーズ”を決めていた。白鷹軍の練習を見て、感じたことがあった。
「松田も元気だなぁ。体も動けるし。あと田口(昌徳)もバッティングいいよね。一度コーチをやると選手に教えて気づくことがあるって言うから、昔より良くなるんだと思う」
なおこの日は秋山監督も出場することから、試合前にもティー打撃とフリー打撃で調整。打球もワンバウンドでフェンスに到達するなど、現役時代に披露してきたパワフルな打棒は健在だった。

試合前の最後には、選手たちに伝えたことを明かしてくれた。
「選手には『スポーツエンターテインメントなので、自分が今できる範囲でどんどんアピールして、お客さんが喜ぶプレーを見せよう』と。ファンの皆さんにも、昔の姿は見せられないかもしれないですが、少しでも思い出してもらえる機会になったら嬉しいです」
投手・工藤との対戦に球場の熱気は最高潮に
試合後には、監督インタビューでこの日来場した40,142人の前に立ち、試合を振り返った。
「無事に終わりましたね。選手たちが練習して迎えてくれましたし、怪我人がいなくて本当に良かったです。短い期間で練習した思いますが、一生懸命やってくれて選手には感謝しています」
この日最大の盛り上がりを見せたのは最終回に訪れた”投手・工藤”と”打者・秋山”の対決。
工藤投手が秋山選手に120km/hを超えるストレートとカーブを投げ込む。4球目を打ち遊ゴロに倒れるも、スタンドから感謝の拍手で両者を讃えた。
「工藤監督が投げるということで俺が立つしかないなと。(工藤監督は)62歳ですが素晴らしい球投げますし、往年のカーブも打つのはなかなか難しいですね」

インタビューでは続いて、試合で印象に残った場面も問われた。
「実績を残してる選手たちですので、打ち方とか投げ方・守備も形が本当に変わらないなと。それだけプロの選手たちは己の技術を高めて、自分の形を作ってきたってことだと思います。それがすごく分かりました」
福岡に移転して36年、そしてソフトバンクホークスとなって20年が経つ。
築き上げられた歴史を未来へつなぐ一日となった意義を実は試合前に問うていた。
「これまでホークスのユニフォームを着た選手たちが頑張って脈々と歴史を築いてきた。その積み重ねで、強いホークスの野球というものになっていると思います。僕らOBたちもね、もっと強くなれると期待もしていますし、これからも積み重ねてほしいです」

そして最後にはプロ野球界への今後の期待も寄せた。それは自身がたくさんのファンに夢と憧れを与えて続けてきたからこその言葉があった。
「僕はプロ野球でスター選手、魅せる選手がどんどん増えたらいいなと。それを期待しています。野球選手じゃなければできないことをグラウンドの中で存分に表現してもらいたい。
そのために技術を磨いたり、体を強くすることをとことん追求してもらいたいと願っています」
選手そして監督として常勝軍団をつくりあげ、現役時代は”バック宙ホームイン”などまさに魅せる野球を体現した秋山監督。
稀代のエンターテイナーはホークスそしてプロ野球界のさらなる活性化に期待を寄せた。
(おわり)
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