最後の”新日鉄釜石戦士”三浦健博 振り返る震災の記憶「やっぱり自分たちはラグビーをやるしかない」
感謝の想いを持って臨んだシーズン
震災から約2ヶ月後の5月3日、いよいよ活動が再開した。選手たちはラグビーができることに感謝し、少年の心でグラウンドを駆け回った。
9月11日、ちょうど半年後にトップイーストリーグが開幕。秩父宮ラグビー場で日野自動車と対戦し、41−0と快勝し大きなスタートとなった。
当時35歳となるこの年は、コーチ兼任で迎えたシーズンだった。チームも佐伯悠主将を筆頭に「釜石のために戦う」を合言葉に、日に日に結束力を高めていった。
2戦目はクボタスピアーズとの対戦。この年トップリーグから降格したクボタも再昇格に向け並々ならぬ想いで臨んだ中、互角の試合を繰り広げた。
8-13で惜しくも敗れたが、一時は逆転するなどトップリーグレベルの相手に最後の最後まで諦めない姿勢を釜石そして全国のラグビーファンにそのスピリットを見せつけた。
この年は6勝3敗と勝ち越したものの順位は4位。目標にしていたトップリーグ昇格は叶わなかった。結果だけを見ると決して満足はできないかもしれないが、選手たちのスピリットは釜石市に希望の光を照らし続けた。
三浦は2011年シーズンを被災した当時と重ねながら振り返った。
「津波なんて昔の話だと思っていました。それが実際に起きて大きな被害も出ました。でもそこを乗り越えてラグビーできたことが幸せだと思い、本当に感謝の想いを持ってプレーしていました」