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リコーブラックラムズ東京 得意のラインアウトモールで攻め立てるも雨中の勝負はキックに泣き、勝利を逃す(リーグワン第7節)

2月25日、「NTT JAPAN RUGBY LEAGUE ONE 2023-24 第7節 リコーブラックラムズ東京 vs コベルコ神戸スティーラーズ」の試合が行われた。

3連休の最終日は雨が降りしきる中、寒さを吹き飛ばす熱いフィジカルバトルが繰り広げられた。

(協力:リコーブラックラムズ東京、写真 / 文:白石怜平)

ゴジラとのコラボや新入団選手のお披露目も

舞台は駒沢オリンピック公園総合運動場陸上競技場。前節(クボタスピアーズ船橋・東京ベイ戦)に続き、世田谷区に拠点を置くブラックラムズのホストゲーム。

前回は試合終了残り1分のところで逆転するも、直後にペナルティゴールを決められあと数秒のところで勝利が離れてしまっていた。

あいにくの天候だったが、黒のウェアを身にまとったラムズファミリーが応援に駆けつけた。

この日は「大ヒット上映中『ゴジラ-1.0』スペシャルデー」と題し、ゴジラとのコラボが行われた。同映画を制作する東宝スタジオが世田谷区にあることから実現した企画。

スタジアム内にフォトスポットの設置や歴代ポスターが展示され、試合開始前には多くの列ができていた。

スタジアム内に設置された『ゴジラ-1.0』とコラボしたフォトスポット

また、新入団選手の挨拶も行われた。この日メンバー入りしているサミュエル・ワカヴァカ以外の新戦力6名(伊藤耕太郎・津村大志・高本とむ・稲葉聖馬・山本嶺二郎・ペニエリ・ジュニア・ラトゥ)がサイン会に参加し、ウォーミングアップ時には一人ずつマイクを持ち抱負を語った。

ファンの前で直接挨拶した新戦力のメンバー

スタッフもこの日のために意見を出し合い、雨でも快適に観戦できるよう発信も行われた。来場した4000人を超えるファンに向けて、チーム一体で温かいおもてなしをした。

得意のラインアウトモールで2トライ決めるも及ばず

今節の対戦相手はコベルコ神戸スティーラーズ。昨年は41-26で勝利している相手である。

アップ終了時は全員でメンバーを迎えている

悪天候の中で始まった試合は前半12分に動く。ハーフライン付近からスティーラーズのSOブリン・ガットランドが蹴り上げたキックを捕りに行くもスリップ。

一瞬のタイミングで猛スピードで走り込んでいたCTBナニ・ラウマペがキャッチし、そのまま駆け抜けトライを決めた。ガットランドがゴールを決め、0-7のビハインドを背負う。

しかし、ブラックラムズはすぐに反撃を仕掛ける。前半15分にノットリリースザボールを誘うとFBマット・マッガーンがPGを決め3点を返す。

前半28分にPGを決められ再びリードを7点に広げられるも、ここからブラックラムズの”ハードワーク”を見せた。相手ノックオンからスクラムを選択。そこからキックで敵陣に入ると、前半36分にゴール前でラインアウトモールで押し込む。

ラインアウトモールからトライを決めた

NO8 ネイサン・ヒューズがトライ。マッガーンもゴールを決めて同点に追い付き折り返した。

ゴールを決めたマット・マッガーン

さらに畳みかけたい後半だったが、開始早々の3分にまたもや悪天候の影響を受けてしまう。ハンドリングを滑らせてしまうと、WTB松永貫汰が2度のキックで大きく前進。

インゴール前でボールを掴もうとした際に、ノーボール・タックルを受け認定トライとなった。

後半17分にPGを決められ、ブラックラムズは10-20のビハインドを背負う展開になったが、ここで前半に見せた真骨頂を発揮する。

反則を誘うと、再びラインアウトモールで押し切りトライに。決めたのは主将・武井日向。ゴールも決まり3点差に詰め寄ると、声援を送るラムズファミリーのボルテージが最高潮に達した。

後半でも得意のラインアウトモールから得点を奪った

しかし、必死に手繰り寄せようとするブラックラムズの流れが、この日は”キック”からすり抜けて行ってしまう。

後半26分にCTB李承信が右端に絶妙なクロスキックでボールを送ると、WTB山下楽平がキャッチしインゴールエリアへ飛び込んだ。この日の放送席でも驚きの声が上がるグラウディングだった。

クロスキックからのトライに会場がどよめいた

ゴールも決められ再び10点のビハインドとなったブラックラムズは、前節のように最後まで諦めず食らいつくも及ばすノーサイド。10点差以内での敗戦が4試合と、上位チームと引けを取らない試合は続くも順位は変わらず10位に。

週末は秩父宮ラグビー場で東京サントリーサンゴリアスと対戦する。

試合後ヘッドコーチ・主将の会見

ピーター・ヒューワット ヘッドコーチ(HC)

「すごい腕相撲のような試合でした。こういうコンディションなのでランニングラグビーに適していないことは分かっていましたが、腕相撲のような戦いになって、ビッグモーメント(勝負を分ける部分)でスティーラーズが上回ったことが差になったと思います」

―前節後に練習試合を重ねました。選手のセレクションはどのように行ったのでしょうか。

「選手たちにも言ってますが、すべてのゲームがセレクションだと。二つの練習試合で若い選手・経験ある選手が出場しましたが、ジョシュ・グッドヒュー、西川大輔にサム(サミュエラ・ワカヴァカ)が良いパフォーマンスをしてくれました。

良いプレーができればチャンスが回ってくるんだと思ってもらいたいです。クラブの強みというのは、チーム全員で戦う。そこを強みにしていきたいと思います。

LOで80分間プレーして、ジョシュ(グッドヒュー)はすごく良かったです。西川に関しては、WTBにとってこういったコンディションは厳しかったと思います。

シンビンもありましたが、トライセーブもしたし良かったです。サムはインパクトを与えてくれました。まだ若い選手ですが、学びに対する姿勢やプログラムを信じて成長してくれています」

武井日向主将

「フィジカルな戦いになるとゲーム前から分かっていました。自分たちも戦えた部分はもちろんありました。

ただ、ブレイクダウン周りでプレッシャーを受けていいラグビー、自分たちの思うようなアタックができなかったことは改善すべきことかなと思います。ペナルティ数もこれまでの試合に比べたら多かったので、改善していきたいと思います」

―接点でペナルティが多くなってしまったのはどんな要因がありますか?

「スティーラーズの接点の強さもありますし、二人目のサポートの寄りが遅かったとも思います。そうするとあれだけプレッシャーを受けてしまう。

相手はオールブラックスのジャッカラーがたくさんいますし、そういう選手に好き勝手に仕事をさせ過ぎてしまったなと思います。そういうところはレベルアップしていきたいです」

―特に敵陣に食い込んだところでのペナルティが重なった印象でした。

「先ほどヒューイ(ヒューワットHC)が言ったとおり、そういう瞬間の集中力、フォーカスが欠けてしまった部分があったかなと。

チャンスやピンチの場面でもう一段階レベルを上げて、集中力を上げていかないと取り切れるところで取り切れないですし、逆に取られてしまいます。

それが結果として勝敗につながっているので、もう一段集中力を上げてペナルティをせずに取り切るところまでレベルアップしていきたいと思います」

―対戦したアーディ・サベア選手(昨年のW杯ニュージーランド代表)についてどんな感想を持ちましたか?

「一つひとつの接点に激しく来ますし、1人・2人じゃ止まらないレッグドライブの部分もすごかったです。でもそれに負けていないな感触はチームのメンバー全員にあったと思うので、『オールブラックス相手にやれる』という自信はみんな得たと思います」

―得点に結びつけるための打開策は何になりますか。

「こういうコンディションなので、自分たちの思うようなパスワークができずハンドリングエラーもありました。こういう時だったらどうしなければいけないかをもう少し話して、コントロールできることをしていきたいと思います」

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