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【特集】戦場への帰還 ~不屈の精神と長き闘いの記憶~埼玉武蔵ヒートベアーズ 由規兼任コーチ 第2回 神宮のマウンドにカムバック。1771日ぶりの復帰と1786日ぶりの勝利

「気づいたら投げ終わっていた」1771日ぶりの復帰登板

そして、ついに長いトンネルから出る日が来た。7月9日の中日戦、一軍のマウンドに背番号11が戻ってきた。本拠地神宮球場はこの日着用するユニフォームに合わせ、スタンドがグリーンに染まった。

11年9月3日の巨人戦(神宮)以来、実に1771日ぶりだった。試合前に降っていた雨も、復帰を祝うかのように開始前には止んだ。クラブハウスからグラウンドに入り、ベンチへ向かうと復帰を待ち侘びたファンから歓声を浴び続けた。

1771日ぶりに神宮で復帰のマウンドに立った(球団提供)

そしてプレーボールと同時に割れんばかりの声援と、まっさらなマウンドに立った由規。緊張する中、先頭の大島洋平への初球は146km/hのストレート。この日初めてバッテリーを組んだ中村悠平のミットへ投げ込んでいった。

初回、3回と1点ずつを失うも味方打線が奪い返し4回まで2−2。5回にもう1点を失うも6回もマウンドへ上がった。3連打で無死満塁のピンチを招くと、中日は代打に森野将彦を送る。

由規は全球ストレート勝負。フルカウントから、この日最速タイの149km/hを投げ込む。ファウルになった次の7球目、この94球目が外れ押し出し。ここで交代となった。

5回0/3で10安打6失点(自責点5)。復帰戦は白星スタートとはならなかった。笑いや涙、様々な感情が球場全体で入り混じったこの日を改めて振り返った。

「もちろん一軍の試合に投げているので勝たないといけないのですが、その前にバッターと勝負できている感覚の方が何より嬉しくて。

球場の雰囲気も完全に後押ししてくれる感じでしたので、どう転がっても勝つんじゃないかなと思ったくらい。そういう感覚になりました。

結果的には負けてしまいましたが、本当に不思議な試合でした。気づいたら投げていてもう投げ終わっていましたね」

5年半ぶりのマウンドは気づいたら終わっていたという

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