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「優勝した時に自問自答していた」埼玉武蔵ヒートベアーズ 角晃多 若き指揮官が悩んだ”正解のない”答えとは?

現在、埼玉武蔵ヒートベアーズの球団社長を務める角晃多さん。

昨年までは球団社長に加えてゼネラルマネジャー(GM)、そして監督の”三刀流”を務め、昨年からは球団社長に専念している。

NPBではロッテで6年プレーし、その後BCリーグ・(現:埼玉)武蔵ヒートベアーズに入団。3年選手としてプレーしたのち、18年からは若冠27歳の最年少監督として指揮を執ることになった。ここでは監督時代の奮闘から迫っていく。

>現役時代編はこちら

(取材協力:埼玉武蔵ヒートベアーズ 文:白石怜平 ※以降、敬称略)

「無事にシーズンを終わらせるか」からの転機

18年から監督としてグラウンドに立った角。27歳ながら自身よりさらに若い選手を育てNPBへ輩出すること、そしてチームを勝利に導き地域を盛り上げる役割を担うことになった。

当時はチームの立て直し真っ只中。現在の「埼玉武蔵ヒートベアーズ(以下、ベアーズ)」に改称し、再スタートを切った。就任当時の苦労をこう振り返った。

「監督で最初に大変だと感じたのは”どうやってシーズンを終わらせるか”。そこが一番でした。けが人を出さないようにとか、試合を成立させないといけないなど、どうやって無事にシーズンを終わらせるかでしたね…勝敗よりもそちらでした(苦笑)」

順位は下位ながら2シーズンを乗り切ったベアーズ。転機が訪れたのは2020年だった。

地元埼玉県の株式会社温泉道場がオーナー企業を務めることになった。新しい血が流れ、グラウンド外でも改革が行われた。

「温浴施設をハブとして地域の方に来ていただき、そこで新しいものが生まれるビジネスモデルに球団が加わった形です。そこに関わるものは全てチャレンジしていきたいなと思ってやっていました」

地域に根差した取り組みの一つとして、べアーズの名前を冠した接骨院を開業した。選手も通い体のケアに役立てているなど、球団も起点に加わっている。今後も人が集まる場所がさらに増えていく。

22年に整骨院がオープンした(写真:球団提供)

21年、初の地区優勝を達成

グラウンド面においても変化が表れ、1つ快挙を成し遂げた。21年、球団創設から初の地区優勝を達成したのだ。これまで下位に低迷したチームにとって大きな躍進となった。

「優勝できたのはNPBから注目されやすいタイプの選手、例えば足の速い選手といった一芸に秀でたタイプを多く揃えることができたんです」

独立リーグでプレーする選手たちの多くは、NPBへ行くもしくは戻ることを目標に置いている。そのため、いかにNPBのスカウトの目に留まるかが勝負となってくる。

角も監督として試合に勝利することと、1人でも多く選手をNPBへ輩出することの両軸を追及していた。それを踏まえてこう続けた。

「BCリーグの難しいところなのですが、ただ成績を残してもNPBにいける世界ではないです。成績を残してもBCリーグの代表に選ばれない、さらにはNPBに行けないなどで選手のモチベーションも変わってきます。

足の速い選手などがいると注目されやすい環境にあるので、選手みんなのモチベーションを維持できるんです。自分たちの可能性ややりがいを持って走り抜けてくれたというのが、一番良かったのだと思います」

21年に球団初の地区優勝を達成した(球団提供)

その裏での自問自答、監督としての苦悩

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