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埼玉武蔵ヒートベアーズ 角晃多球団社長 ”三刀流”としての奮闘から社長専任へ。自身が描く理想像「野球を通じたコミュニティをつくりたい」

昨年からは球団社長専任に

22年オフ、5年間務めた監督を退任することが発表された。小学生時代から着続けてきたユニフォームをついに脱ぐことになった。球団社長専任へと決断した理由を語った。

「中途半端になってしまうなと。経営に加えて監督業を両立するというので、自分のキャパシティに限界を感じていました。どの役職も代わりはいる、もしくはいずれは出てくると思いますが、今の球団をどう展開していくかでは代わりがいなかったので、専念する判断をしました」

昨年はスーツでファンの前に姿を見せていた(球団提供)

グラウンドの方では、かつて”トレンディエース”として日本ハム、西武で活躍した西崎幸広監督が就任し、新たなスタートを切った。

チームが勝ち進むにつれて、地元ファンや企業の反響が増していくのを肌で感じる日々だったという。

「ありがたかったです。地元の新聞社も一面に掲載いただきましたし、勝つことに対して、周りの方たちに喜んでもらっていたのは大きいと思います」

そして自身が指揮を執っていた21年以来の地区優勝。その後も勝ち抜き、発足9年目で初のBCリーグ制覇も成し遂げた。日本独立リーググランドチャンピオンシップでは敗れ、惜しくも準優勝だったが、チームにとって大きな飛躍の一年になった。

BCリーグ優勝時もファンと共に喜びを分かち合った(球団提供)

角は選手として初年度から在籍しており、感慨深さが誰よりも強かったのは容易に想像できた。しかし、今は監督ではなく経営者。取材時でもその顔をすぐに見せた。

「9年間たくさんの変化がありました。優勝の瞬間は皆さんに一堂に集まっていただけた空間だったので本当に嬉しかったです。ただ、僕らの仕事は、あの時期から来年の話が頭にないといけないです。なので、今までと違う角度で見ていましたし、余韻に浸る事はなかったです」

シーズンを終えると、地元からはたくさんの労いを受けた。改めて地域に根付いているチームとして、感じたことがあったという。昨年をこう振り返った。

「我々地域スポーツはどこまで行っても、地元の方や企業様の支援がないと成り立っていけないです。それを実感するシーンをより多く感じられました、

分かりやすい例を挙げますと、出陣式や報告会ではスポンサー様が会する機会なのですが、自分が現役だった時は約50〜60の規模でした。昨年は150を超えましたし、輪が広がっているんだと感じられた。そこが1番大きいと思います」

「頑張ったら手が届くプロ野球チームに」

インタビューの最後、埼玉武蔵ヒートベアーズを今後どんな球団にしていきたいか。その展望を語ってもらった。

「我々も”プロ野球”なので、もっともっと組織を繁栄させていきたいです。地域の方達とはすごく距離が近いですし、球団が皆さんの希望になれたらというのは常に考えています。

『BCリーグと言ったらベアーズだよね』とファンの皆さんが言っていただけるようにしたいと思いますし、僕自身の感覚としては、『自分も頑張ったら入れるプロ野球球団』を目指しています。

NPBだと雲の上になってしまうので、そうでなくでも”プロ野球選手”になることができる。そこをメッセージとして今後も発信できたらと思います」

ベアーズを地域そして野球界の希望にしていく(球団提供)

また、角自身もユニフォームを脱いだといえども野球人としての血は流れている。昨年の区切りを経ての目標を最後に訊いた。

「どのスポーツも素晴らしいですし、魅力ありますよね。でも、僕個人としてはずっと野球界にお世話になっています。今競技人口が減っている中ではありますが、もっとみなさんの中で”スポーツといえば野球”と思っていただけるように微力ながら貢献していきたいです」

チャンピオンとして迎える新シーズンとともに、角は球団の屋台骨をこれからもつくりあげていく。

(おわり)

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