西武初のOB戦『LIONS CHRONICLE 西武ライオンズ LEGEND GAME2024』黄金時代の選手が再び躍動し、新たな歴史の幕開けに

3月16日、ベルーナドームで　『LIONS CHRONICLE 西武ライオンズ LEGEND GAME2024』が行われた。

ライオンズブルーのユニフォームを身にまとった63名のOBが一堂に集結し、過去と未来をつなぐ歴史的な一日となった。

（写真 / 文：白石怜平、一部敬称略）

西武ライオンズとして行われた初のOB戦

今回は西武ライオンズ初のOB戦。1979年にライオンズが所沢に本拠地を移転してから昨年で45周年。その締めくくりにふさわしいイベントとなった。

チケットは発売後すぐに完売。スタンドは360度ライオンズファンで埋めつくされた。

参加選手も豪華なメンバーで構成された。チームLIONS・チームSEIBUの2チームに分かれ、西武ライオンズ誕生から11度のリーグ優勝・8度の日本一に輝いた当時のホーム・ビジターユニフォームを着用。

他球団の選手たちが「ユニフォームを見るだけで勝てる気がしなかった」と語った王者の戦闘服に再び袖を通した。

参加したのは総勢63名。チームLIONSは東尾修監督・チームSEIBUは田淵幸一監督と、創成期のチームを投打で牽引した2人が務めた。

選手も幅広い層が参加し、なんと21年までプレーしたエスネスト・メヒア選手や昨年まで在籍した呉念庭選手もこの日のために来日した。

試合前の打撃練習では当時を懐かしむように再会を喜び、交流を深める様子が多く見られた。黄金期のチームリーダーだった石毛宏典さんも、「今日は同窓会のようで、ライオンズの選手でよかったと感じる瞬間でした」と感慨深げに語った。

試合前のセレモニーでは、選手紹介では一人ひとりキャッチコピーが紹介され、毎度大きな拍手が起こる。国歌斉唱そして始球式には球団歌「地平を駆ける獅子を見た」でお馴染みの松崎しげるさん。

選手たちと同じく、西武の創成期から40年以上にわたりその歌声とカリスマ性でスポットライトを照らし続けている。

初回、工藤ー伊東の30年ぶりバッテリーと80歳・土井の技ありの一打

いよいよプレーボール。試合は7イニング制で行われた。チームLIONSの先発は工藤公康。この日に向けてトレーニングそして遠投も行うなど、現役時代さながらの準備で臨んだ。

スタメンマスク捕手は伊東勤。レオの黄金バッテリーが30年ぶりに復活し、ライオンズファンにとって感激の瞬間が早くも訪れた。

現役時代と変わらない大きく足を上げ軽やかに投げ込む工藤。初回から早くも記憶に残る名勝負が行われる。

3番・秋山を迎え、初球121km/hのストレートを投じる。ファールで秋山が食らいつくなど2球で追い込むと3球目は伝家の宝刀カーブ。秋山のバットは空を切り、工藤は3者凡退に抑えた。

降板後、ファンの前でインタビューを受けた工藤は「農業で鍛えた下半身です」と胸を張りながら、

「緊張もありました。久しぶりにマウンドに立って18.44mが遠い遠い。伊東さんが小さく見えました（笑）」と笑顔で振り返った。

チームSEIBUの先発は潮崎哲也。先頭石毛にヒットを許すも、田辺を併殺打に打ち取って打席には3番・土井。かつての”18歳の4番打者”は80歳でもバットのヘッドを投手に向ける構えで威圧感を醸し出した。

そして3球目、真ん中に来た球を逆らわずに右方向に打ち返すと打球は一・二塁間を抜けた。しかし、ここは”勝負”。右翼の大友進がすぐさま一塁に投げ返し右ゴロとなった。

ただ、潮崎は降板後のインタビューでは「あれはヒットです。大友が空気を読まなかったです（笑）」と土井の技術に脱帽した。

この後悪夢を思い出すハプニングも起きる。2回表、打席に呉念庭を迎えると、振り抜いた打球は左翼への飛球に。ここで守ったのはG.G.佐藤。

自身もよく語る”あのシーン（北京五輪での落球）”がスタンド内の多くの脳裏に浮かんだ中、スライディングキャッチを試みるも捕球は失敗。打球は転々とし、打った呉は三塁へ進み、球場がどよめいた。

4回、両監督の対戦後に上がった花火