上野由岐子選手による特別指導「ウエノラボ 2024」開講 「試合に勝つためのピッチング」として伝えた体と心の使い方
11月23日〜24日の2日間、群馬県高崎市内で「ウエノラボ 2024 supported by ミズノ」が開催された。
ソフトボール女子の上野由岐子選手(ビックカメラ高崎)が今年も中学生から大学生に向けて、培った経験を伝える場になった。
(取材協力 / 写真提供:ミズノ、写真 / 文:白石怜平)
3回目を迎えた上野由岐子選手による特別指導
ウエノラボは、ミズノのブランドアンバサダーを務めている上野選手が展開する特別なクリニック。
「将来ソフトボールを代表する選手になりたい」
その志を強く持った選手に直接指導を行う企画で、21年1月〜22年2月の第1回、昨年8月の第2回に続き第3回目を迎えた。
第1回で中京大時代に参加していた坪野三咲投手は、22年にニトリJDリーグのデンソーに入団し、昨年に新人賞を獲得。
アワードの場で上野投手との再会を果たすなど、まさに理念が実現する場になりつつある。
参加選手は上野選手が事前に応募者の映像を見て選出している。今回は、中学生〜大学生の計17人が志を実現すべく高崎へとやってきた。
なお、今回はアメリカから参加した選手も。かねてから上野選手に憧れ、YouTubeチャンネル「太陽のように」を欠かさずチェックしているという。
ウエノラボのために来日し、憧れの存在と初めて対面し直接指導も受けられる夢のような時間でもあった。
中高生に伝えた”左手の使い方”
今回お送りするのは主に初日23日の午前に行われた中学・高校1,2年生の部。
上野選手は「私が近くに行ったら、聞きたいことがあれば自分から質問をどんどんしてほしい」と選手たちに呼びかけるなど、活気ある雰囲気がつくられた。
午前の部では背中合わせで6~7人ずつ2列に並び、捕手を座らせての投球練習を行った。
最初の1時間はストレート中心、休憩及び座学を挟み再開後は、変化球を交えての投球練習でひたすら数をこなした。
昨年は中高生に向けては主に2つのテーマを設定していた。
それは”力まない”ことと、”脚を使う”こと。2点を重点的に伝え、「楽にいいボールを投げられることを感じてほしかった」と述べていた。
今回の中高生に向けたテーマは、「新しい球種に取り組むことを今回は課題にしたい」と自身のYouTubeチャンネルで特集した際に語っていた。
「今回集まってくれた選手たちのレベルが高かったので、ただストレートを思い通りに投げるだけではなく、プラスアルファのスキルを学んでもらいたいと見ていて感じました。
これを機に”新しい球種が増えた”と、手ごたえを感じてもらえたらいいと思っています」
と、その意図もチャンネル内で明かしている。また、今年の主なポイントとして上野選手が挙げたのは、右投手でいう”左手の使い方”。
「左手で投げたい方向を指す。誘導して投げるときに入れ替える力が必要だからね」
「左側に重心を乗せて、左手で投げたいところを誘導してあげる。その方がグンと伸びのある球が行くから」
というように体一つの使い方で球の質が変わっていくことをすぐに示した。さらに、
「リリースの瞬間の強さがボールの重さに変わる。ボールに重さと同時に想いを込めることが大事。それを大事にしながら、足の使い方を意識して」
とフィジカル面以外にも大切なことも指導の中で伝えた。
午後に行われた高校3年生と大学生の部では、昨年と同様に試合を想定しての指導を行った。
「今のコンディションやグラウンドの状況などを分析し、今自分が試合で出来ることをする」
と伝え、中高生同様に捕手を座らせて投げ込みの練習を重ねていた。
「”CHANCE”をもらいたければ”CHANGE”」
2日間かけて行われたウエノラボは今回も無事に終えた。上野選手は、以下のように総括した。
「ウエノラボでは試合に勝つためのピッチングを伝えています。今日感じたこと、学んだことで気づきを与えたいと思っています。
『CHANCE(チャンス)』をもらいたければ、『CHANGE(チェンジ)』、自分たちが変わらないといけない。チャレンジして失敗することが大切。
打たれることを嫌がらない。打たれて、上手くいかなくてラッキー、と思えるくらいポジティブに捉えてもらいたい。これからも私にしかできないことを伝えていきたいです」
今年上野選手は、7月に行われたWBSC女子ソフトボールW杯で日本の世界一に貢献して大会MVPを獲得。
リーグ戦においても10月に東京五輪決勝以来3年3ヶ月ぶりの先発登板を果たすなど、その実力が健在であることを示した。
自身もまだまだ進化を見せ、ラボそして教え子たちと共にソフトボール界を盛り上げていく。
(おわり)
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