ミズノ ”学生野球の聖地”神宮外苑に新ショップオープン 侍ジャパン・井端弘和監督がトークショーで語った数々の”こだわり”とは?
7月19日、「ミズノショップ神宮外苑」でプレオープンイベントが開催された。翌日にオープンを控えたこの日、侍ジャパンを率いる井端弘和監督も駆けつけ、トークショーなどで門出を彩った。
(取材 / 文:白石怜平 )
神宮外苑エリアに誕生したミズノ”こだわり”のショップ
7月20日にオープンした「ミズノショップ神宮外苑」。
野球を中心に置きつつ一部サッカーシューズ等も販売しており、“こだわり”をテーマにした高付加価値な商品とサービスを提供している。
場所は学生野球の聖地でもある神宮外苑に構え、東京メトロ「外苑前駅」から明治神宮野球場へ向かう道中にある。
高校・大学野球でプレーしている選手のほか、多くの野球好きが立ち寄って楽しめる場所となっている。
加えて神宮球場に近いことから、本拠地に置く東京ヤクルトスワローズに所属する監督・選手やOBに関するアイテムの販売も行う。
髙津臣吾監督や伊藤智仁投手コーチそして宮本慎也氏の復刻モデルグラブを販売するほか、村上宗隆選手をはじめとした東京ヤクルトスワローズのミズノブランドアンバサダーのプレミアムレプリカグラブ(予約受注)などが展開される。
井端弘和監督の発案で誕生したものとは?
プレオープンイベントには、侍ジャパントップチーム兼U-15で指揮を執る井端弘和監督が特別ゲストとして登場。事前に抽選で選ばれたファン40名を対象にトークショーが行われた。
まず2Fでスタートしたイベント。プロ野球選手も寄れるのではないかという質問に、
「販売されている種類も豊富ですし、メンテナンスもできるので(神宮球場の近くで)いい場所にありますね」とショップと場所の印象を語った。
2階のフロアはバットを中心に、バッティングそして走塁用の手袋も揃っている。このフロアには、井端監督にまつわるものもラインナップに入っていた。
ここではグラブケースも販売されているが、実は井端監督からの発案で誕生したものだった。
「以前はジュラルミンケースに入れて持ち歩いていたのですが、『何を入れてるの?』というくらい大きくて重たくて。そこから作ってもらったのですが、今はすごく進化していますよね。そこはミズノさんの技術力だと思います」
また道具へのリクエストについては、「バットやグラブは最初に決めた型を使っていました」とし、主にケースや手袋、打席や守備での防具について都度寄せていたという。特に防具類については以下のように語った。
「僕が現役でやっていた当時は(腕も足も)フル装備していた選手は少なかったと思います。肘も僕は違和感があるから付けていなかったですし、足も先がない(=甲にかからない)ものにしていました」
その中でも井端監督がミズノに要望したものがあった。その理由も添えて明かしてくれた。
「サッカー選手と同じソックスの中に防具を入れたいとお願いしていました。二遊間を守っていて、当時はスライディングでフッキングができたので、くるぶしとか脛を守るためにつくっていました」
井端監督オススメのバットが持つ”音”
続いてこのフロアでメインのバットコーナーに。店内に綺麗に並べられている約400本ものバットに参加者も目を奪われた。井端監督は現役時代使っていたバットについて、
「33.5インチ(85cm)、910g前後。開幕の時期は920gで落としていく感じです。今の選手と比べると重いバットを使っていたと思います」と明かした。
MCのDJケチャップさんからも「今の選手は900gを超える重さを使う選手はほぼいなくて、だいたい880g前後ですよね」と補足したことからも、重さのあるバットで安打を積み重ねていたことが分かった。
井端監督がオススメするバットを紹介してくれた。実際に手に取って「これはかっ飛びます」と断言し、解説した。
「村上選手のバットなのですが、木の素材も厳選されていてこれがいいです。僕らも練習用・試合用などとランクをつけるんです。その中でも特Aですよ」
バットの質を確かめる際に”音”で確かめるといい、そのポイントも説いた。
「音が高いのがいいという人もいるのですが、僕は”長く響く”のが好きなんです。村上選手のバットは長くて余韻があるんです」
ここで、参加者一人ひとりが直接井端監督から実際に聞かせてもらうと、まさにその通りという表情で感心していた。さらにバットにまつわる現役時代のエピソードを披露した。
「白バットと黒バットがありますが、黒の方がハーフスイングが分かりにくいというのを聞いたので、速攻変えました(笑)」
実は初めて話すという井端監督。黒にしたことで実際に変化があった。
「黒に変えた後、自分でも”あ!”と思った時にスイングを取られなかったです。逆に白の時は”振ってないのでは?”と思う場合でも審判はよく見えるんでしょうね。(スイングを)取られたケースが多かったので、黒にしてよかったです」
ゴールデングラブ賞7回の名手が要望した”矛盾”
ここから1Fのグラブコーナーへと移る。フロアに広がる革の香りを感じ、「野球選手というのはこれでテンション上がりますよ」と気持ちの昂りを垣間見せた。
バットと同じ約400個のグラブがある神宮外苑店。入り口にメンテナンスができる機材が揃っている。
話題はグラブのこだわりについて。井端監督は現役時代、遊撃手としては歴代2位のゴールデングラブ賞7度を受賞した名手でもある。
「こだわりはたくさんありすぎて、何度も何度もつくり直してもらった記憶しかない」と語った。特にこだわったのは”軽さ”だった。
「手に近い感覚で捕りたかったですし、かつ打球に負けないという”矛盾した”要望をしていたんです。
そこを極限まで軽くしてもらって、指先は(打球に)負けないようにしてくれて、納得いくグラブができてからは変えることがなかったです」
ただ、その中でも「現役の最後の方は0.5mm長くしてほしい」とリクエストしたこともあったという。その細部にわたる感覚を持っている点も名手たる所以と感じられたシーンの一つだった。
イベント終了後にもこだわりについて問われると、「僕は人一倍野球道具にこだわりがあったと思いますし、すぐに実行して実現してくれたことに今でも感謝しています。お互いに妥協を許さなかったので技術の発展につながったと思います」と振り返った。
また、自身が現役時代に使っていたグラブをこの日のために持参してくれた。実際に見せながら構造を解説。意外とも言える面白エピソードが飛び出した。
「グラブ自体は変えないですが、ウェブの形は変えました。ゴールデングラブを獲得すると、自分の使っている型のをいただけるじゃないですか。最初の型で2つほど獲れたので、次変えようと思いました(笑)」
最後は参加者に向けた抽選会が行われ、約1時間のイベントは盛り上がりを見せた。終盤に背番号「89」のユニフォームを着用していた井端監督は、
「このようなショップはなかなかないと思うので、これから発展していくと思います。また、JAPANもミズノさんと共に世界一を掴んで次のWBCへの弾みにしていきたいです」と締めた。
井端監督はU-15の監督として今月コロンビア・バランキージャで開催される「第6回 WBSC U-15 ワールドカップ」、そして11月4日からはトップチーム監督として「プレミア12」という2つの国際大会を控えている。
イベント終了後の取材では、「視察については、これからも幅広く見たい。世界大会を重点に置きながらも各世代幅広く見て、レベルアップの手助けができればと思う」と述べた。
日本野球の底上げと発展のために世界の舞台でミズノと共に戦い続けている。
(おわり)
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