「働くフィールドは無限大にあります」eat Link代表・牧春菜さん 管理栄養士の価値と抱く夢

指導する中で感じた”採血の大切さ”

現在は、会社の代表としても表に出る機会が多い牧さんだが、ここまで来るのには10年以上要したという苦労があった。大学を卒業後、現場で実践する機会がこれまでなかったこともあり、

「試行錯誤でした。自分で地位を確立しないといけない職業だと感じましたし、実績も自信もつけるのに時間がかかりました」と振り返る。

どんな苦労があったのか。社会人として働き始めた当初、「調理人の印象を抱く方が多かった」と管理栄養士の価値が正しく理解されていないと感じたことだった。あとは、現代の情報化社会においてさらに痛感したことがあった。

「インターネットの情報をみんな信じてしまうのです。なので『ネットに載っているから大丈夫』と思われることもありました。ただ、実際は間違ったことをしている人が多いのです。本当は体重を増やさないといけない方が、『糖質を摂ったら太る」という情報を見て糖質を除いてしまっていたり」

管理栄養士として、正しい情報を提供し選手のサポートをしたいという考えを持ち続け、牧さんは諦めず模索した。

大学卒業後、整形外科で勤務。スポーツ選手を診ていた病院だったこともあり、「スポーツに関する管理栄養士になりたい」という意向を選手と一緒に来ていたトレーナーの方などにも伝えていた。加えて選手へヒアリングなども行うなどして、フィールドを自ら開拓していった。

地道な努力が徐々に身を結び、19年10月に個人事業主として独立。そこからさらに新たな発見があった。

現在はセミナーや個人指導など多岐にわたる(本人提供)

「栄養指導に採血を取り入れています。ある選手をサポートしていたときに、その選手は『太るから食べない』ということで、1日1食でした。ただ、体組成を見ると筋肉量が多い。

『十分な量・栄養が不足しているのになぜ?』という疑問がありました。私は幸いにも医師の方と関わる機会があったこともあり採血をしたらその選手が栄養不足であることが数字で出ました。それで選手も納得してくれて。採血の大事さに気づけました」

新たな発見がさらに牧さんも成長させ、選手からの信頼を強固にしていった。

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