「スポーツ万能な子を育てる」いわきFCが掲げる育成方針と目指すアカデミー人材の姿とは?
いわきFCが目指しているのはアカデミー生全員の“スポーツ万能化”である。
そのため、クラブがU世代に向けて取り組んでいることは「サッカーの練習は週2回程度」である。むしろそれがサッカーにつながると考えている。小俣氏はその意味をこう話す。
「日本全国のサッカーやってる子ってそうなのですが、スキルを重視していて走れないとか、腕立て伏せやジャンプも満足にできないのが現状なんですよ。
その年代では勝てるかもしれないですが、さらに上の年代になったときに通用しなくなってくる。なので、基礎体力を鍛え直してそこからサッカーの練習をした方が効率がいいのです」
さらにわかりやすい例えを用いて補足した。
「例えば、九九を教えないでいきなり電卓を出されて計算するようなことを教えてしまう感じです。九九があるから後の四則計算とか分数ができてくるわけで、”ちゃんと九九を勉強しましょうね”といったイメージです」
さらに夏休みや冬休みの期間中は活動を行わない。学生年代にとってサッカー以外に大切なことがたくさんある。小俣氏はさらに続けた。
「地元で友達と遊んだり家族との時間を過ごしてほしいと。体を休める意味ではなく、子どもらしい生活を送らないと健全な成長ができないので。サッカーから離れてリフレッシュをして休み明けにしっかりやりましょうと。
あと学生ですから、修学旅行や学園祭など学校生活があってのサッカーです。(サッカーが)生活の全てになってしまうことが問題だと思います。それはプロの話ですから」
文武不岐の考え含めた活動方針は、保護者側の理解も必須である。クラブはアカデミーに入った段階から面談でその根拠などを丁寧説明し、納得いただいているという。クラブ・生徒・保護者の間でもしっかり連携が取って運営しているのである。