「スポーツ万能な子を育てる」いわきFCが掲げる育成方針と目指すアカデミー人材の姿とは?

有能運動感」が自信を育てる

スポーツ万能であること。それは自信を生み出すことにつながる。

スポーツ科学における考え方に、「運動有能感」という概念が存在する。いわゆる”自分はできる”といった自信のこと。この感覚は子どもの頃に運動を通して養いやすいと言われているという。

小俣氏は再び例えを用い、以下のように説明する。

「体育で5の子って人気じゃないですか?運動会で活躍したらヒーローですよね。算数が5の子よりも体育できる子の方が人気がある。それって運動を通して周りに認められて『できるじゃん』という自信がつく。そこからリーダーシップや社会性につながっていくのが運動有能感です」

スポーツ万能であれば、承認欲求が満たされ自信につながる。その自信が受験や重要な試合でパフォーマンスを最大限に発揮することにつながる。

開講から4年、花が咲き出す頃に

17年4月から現行でのアカデミーを開講し4年。当時1期生の中学1年生は高校1年生になった。ここまで継続してきて、生徒たちの変化を感じている。

「彼らの練習やプログラムなどを見ると、U-15で培ったものがU-18でも活かされているのを感じます。基礎的な体力や運動能力を作り替えることで、スポーツ選手としての適性を育てるという面で花が咲きだす頃なのかなと思いますね」

開講から4年、変化を感じられているという(©︎ IWAKI FC)

ただ、時代が移るにつれて、指導や育成方法も大きく変わってくる。小俣氏もここで完成ではないと考えている。

「システムは有機的なので更新していかないといけない。これまでのやり方ではいつかはなくなります。社会的要素を捉えて変化していきたいですね」

これまでの常識を覆すような概念が詰まったいわきFCの育成システム。近い将来、教育の場において”いわき発”の新たなモデルケースが花開こうとしている。

(おわり)

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