「スポーツ万能な子を育てる」いわきFCが掲げる育成方針と目指すアカデミー人材の姿とは?

2021年、発足から6年でJFLを制覇しJ3へと昇格したプロサッカークラブ「いわきFC」。これまで筋力トレーニングによる身体づくりなどがフォーカスされ、注目を集めてきた。

いわきFCが注目されるべきは”フィジカル面”だけではない。16年シーズンの立ち上げから築いてきた概念や独自の育成システムがある。

前編に引き続き、いわきFCのアカデミーアドバイザーを務める小俣よしのぶ氏が登場。システムを具現化するための方針などを伺った。

(取材協力 / 写真提供:いわきスポーツクラブ)

”文武不岐”の仕組みづくり

これまで述べてきたいわきFCの育成システム。これを実現するための方針が「文武不岐(ぶんぶふき)」である。

不岐とは ”分けず” を意味する。「学業に励むことがスポーツに役立ち、スポーツに励むことが学業にも役立つ」相乗効果を呼ぶ考え方だ。

「サッカーも社会の一部にすぎません」

こう語るのは昨年までトップチームを率いた田村雄三監督。クラブとしてもサッカーはあくまで”社会全体の一部”と考えている。

プロサッカー選手を目指しても全員がなれるわけではない。仮にプロ選手になれてもその期間は長い人生の一部であり永遠には続かない。しっかり勉強しておけば、どの道に行っても可能性を広げることができる。

そのため、いわきFCのU-15、U-18ではアカデミーの担当が選手の通う学校や担任教師と連携をとっており、学校生活そして学業の成績も把握している。学業の成績が基準を超えない場合は練習に参加させないなど、クラブ・選手・教育機関の”三者連携”を徹底しているのだ。

毎週木曜日は英会話学習を開講している(©︎ IWAKI FC)

また、アカデミーに所属する中学生向けに英会話教室を展開している。商業施設併設型クラブハウスである、いわきFCパーク内にテナントとして入居しており、毎週木曜日を英会話学習に充てている。

受験対策のみならず、アメリカの大学から奨学金を得て、当地の運動部でサッカーを続けられるといった選択肢が増えることを期待しているのだという。

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