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「プロサッカー選手の輩出は最終的な目的ではない」いわきFCが独自に構築した育成システムの概念とは

東ドイツの理論を取り入れる

いわきFCの展開するこの育成システムは、ある国を参考にしている。それは旧東ドイツの知見である。

1989年11月のベルリンの壁崩壊まで存在していた同国は、人口が約1600万人と現在の東京都の人口(約1400万人)より少し多い程度。一国としては人口が少ないかつ、資金や物資の量も大国には敵わない。

そんな国が夏冬の五輪で計192個の金メダルを獲得した実績がある。それはなぜか。端的に言うと「頭を使う」方法で勝ってきた。

育成の観点から言うと、子ども一人ひとりの特徴を捉えて育てるという方針で、まさにいわきFCが取り組んでいることである。

スポーツ科学を30年以上研究している小俣氏もこう話す。

「個人の成長の仕方や、どのスポーツに適性あるかなど、子どもたち全員を活かせるようにという考えがあります。メダルを取るための計画や世界記録をどう伸ばしていくかも、各国の情報を仕入れていて情報戦略も長けていました。今最先端でやってることをもっと足を使ってアナログでやっていたのが東ドイツなのです」

東ドイツの知見を活用し、アドバイスをしている小俣アドバイザー(©︎IWAKI FC)

過去の知見を活かす。それが最も効率的だという。

「彼らが半世紀以上前からやっており、その経験則がある。『こういう風にやると失敗するよ』というのは分かっているのでわれわれはその失敗を避けるときは合理的に進めることができます」

「アカデミーに来た全員が幸せになるための土台作りを手助けする」そんな人材育成を見据えていて発足時からプランを立ててきた。それでも、スポーツだけをやっていればいいというわけではない。クラブの育成方針も従来の概念とは異なるものだった。

続く

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