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「この素晴らしい球場にふさわしいのは”笑顔と歓声”」市川市少年野球連盟 新しい野球のスタイルの先に導いた答え

昨年12月11日、千葉県市川市の妙典少年野球場で行われた「第16回 小笠原道大杯争奪 市川市少年野球大会」の閉会式。

この日行われた決勝戦では、例年と同様に選手たちの活気ある様子を見ることができた。また、名を冠する小笠原道大・巨人3軍打撃コーチも姿を見せ、子どもたちへこれからの人生に向けたメッセージを贈った。

大会を主催する市川市少年野球連盟(以下、連盟)にとって、22年は様々な変革のシーズンとなった。ここでは、昨年連盟の方々が検討を重ね、取り組んできた結果などについてフォーカスする。

(取材協力:市川市少年野球連盟 写真 / 文:白石怜平)

新しい野球のスタイルの具現化は”笑顔と歓声”

連盟はコロナ禍を受け、21年に「新しい野球のスタイル」を掲げて改革を行ってきた。

具体的には、各チームの活動面においては1日最長4時間を目安・遠征は事前申告制とし、決まった時間の中で効率的かつ集中できる環境づくりを行った。

大会の開会式では、YouTubeによるライブ配信を導入。当日グラウンドで参加できなかったチームも参加意識を持てるように始めた取り組みである。

>連盟が昨年掲げた”新しい野球のスタイル”とは?

そして昨年、連盟は大きな変化を迎える年になった。

約4年前からの構想だった新少年野球場を21年6月から着工。約10ヶ月かけて建設を行い、昨年3月にオープンした。

周辺施設も充実させており、同11月には障害のある子もない子みんなが楽しめる遊具広場「ぴあぱーく妙典」、12月3日には球場に電光掲示板が設置された。

>妙典少年野球場 新グラウンドが開場。セレモニーで披露された市川市と野球との”絆”

昨年3月からは新たな球場で大会が行われている(昨年10月の小笠原道大杯 開会式にて)

市川市で子どもたちが成長する場がつくられていき、少年野球においても選手がプレーする環境が整った。

前年の新しい野球のスタイルを基にどうアクションをしていったのか。五嶌(ごとう)誠司理事長に訊いた。

「今年(※取材日:22年12月11日)は、この球場が3月から使えるようになりました。先月から公園もオープンしてたくさんの子どもたちが楽しめるようになってきている。それに加えて立派な球場にふさわしい野球は何かを連盟のみんなで検討しました。

我々が新しい野球のスタイルを求めている中で、仲間から出てきたのは『やっぱりこの球場には笑顔と歓声がふさわしいね』と。この笑顔と歓声を2022年は我々のキャッチコピーとしてやっていこうと。新しい野球のスタイルからの具体的なアンサーとして掲げました」

12月の小笠原杯決勝戦もグラウンドで笑顔と歓声が溢れていた

新しい野球のスタイルが結果で表れた22年

笑顔と歓声を掲げた22年、施設面が充実しただけではなかった。新しい野球のスタイルが1つ形になっていた。

「コロナ禍に入り4時間という制限を目安として設けた中で、稲荷木イーグルスはそれを実践いただいた中で、今回の大会優勝を果たしました。もちろん、特定のチームを褒めるわけではないのですが、決めた時間の中で集中しパフォーマンスを最大限に発揮する。

子どもたちの成長に役立っていると思うので、お手本になって引っ張っていただきたい想いです。コロナで苦しんだ分、工夫した結果が今日なのかなと実感しました」

今回優勝した稲荷木イーグルスが”新しい野球のスタイル”を実践した結果だった

五嶌理事長が時間を決める練習を設定するにおいて、特に大切していたのは「子どもたちが1つのことに集中し、その中で自身で考えること」であった。

閉会式の際、小笠原さんが子どもたちに贈ったメッセージの中で

”大会でうまくプレーできた人・自分の思うようにプレーできなかった人。それぞれいると思います。結果も大事です。しかし、結果も大事だけれども、そこでどういうプレーを・どういう気持ちで取り組んだかが一番大事です。”

という内容があった。五嶌理事長もそのメッセージを聴き、

「今日の閉会式、小笠原さんが『どういうプレーを・どういう気持ちで取り組んだかが一番大事です』この言葉がすごく素晴らしいと思いました。まさに今日言っていただいたことが、我々の目指している姿です」

と語り、とても心を動かされ、感銘を受けた。

>小笠原さんのメッセージ全文

小笠原さんの贈った言葉の中には連盟も思い描いている形も込められていた

23年はコーチング研修を導入予定

23年、連盟は子どもたちの成長をさらに促進するべく新たな取り組みを開始する。大人向け、特に指導者を対象にしたコーチング研修を導入する方針を固めた。

「子どもたちに野球を頑張ってもらうには、大人たちも子どもたちのために頑張らないといけないと考えています。市川市と連携して、しっかり学ぼうということで講演会を開催することにしました」

球場や周辺施設といったハード面が整った。次はその舞台で躍動する選手・指導者の更なるレベルアップというソフト面を強化するべくフェーズを移していく。

「講師は体育大学の教授など専門の方をお呼びします。PHP研究所様とも相談しまして、業界の第一人者とも言える方々のご協力もいただけることになりました。行政にてハード面を整備いただいた。運営については、ますます我々が工夫を凝らさなければならないと考えています」

これからも続く小笠原杯「我々も大切に続けていきたい」

昨年開催した第16回大会、第1回から数え15周年の節目でもあった。小笠原さんも

「野球人口がもっと増えてもらえるように来年・再来年と続けていていきたい。まずは先にある20回と言う数字を通過できるように継続して行けたらと思います」

と話しており、今後も脈々と受け継がれる大会である。五嶌理事長も

「小笠原さんがほんとに大事に継続していただいてる大会ですので、我々も大切に続けていきたいです」

と最後に語り、充実した1年を締めくくった。この23年、笑顔と歓声の先にどんな描く世界があるのか、この春にまたお伝えしていきたい。

(おわり)


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