身体障害者野球チーム「千葉ドリームスター」関東甲信越大会連覇 5年越しに打ち勝った厚き壁と新主将のリーダーシップ

試合は12時にプレーボール。先発のエース・山岸英樹がマウンドに上がった。群馬と対戦した過去3度の関東甲信越大会決勝は必ず先発マウンドには背番号13の姿があった。

左半身まひの障害をもち、走幅跳で再来年のパリパラリンピックを目指す34歳。「後ろに城(武尊)くんがいるので初回から飛ばした」と語った通り、躍動感あふれるフォームから放たれる力強い投球で群馬打線に向かっていく。

巧みに変化球を操り、強力打線からゴロの山を築く。遊撃を守る土屋来夢を中心とした内野陣が鉄壁の守りでアウトを重ねていった。

内野の要として堅実な守備を見せた土屋来夢(提供:東京ジャイアンツ)

打撃陣も初回からつながりを見せる。2死ながら2塁と得点圏に走者を置くと4番の梶本祐介、5番の中䑓陵大(なかだい・りょうた)のクリーンアップが連打で還し2点を先制。

2回にも2点を追加し、4-0とドリームスターが試合の主導権を握った。3回表に入り、1死1・2塁となったところで山岸から障害者野球の日本代表経験もある城武尊にスイッチ。城は三振と投ゴロに切って取り、ピンチの芽を摘んだ。

2試合ともに先発したドリームスターの山岸(提供:東京ジャイアンツ)

そして4-1で迎えた4回の最終回。大会ルール上、100分を迎えるとその場面でゲームセットとなるためこの回がラストイニングとなった。ここでもドリームスターは攻撃の手を緩めず、1死1塁から1番・土屋大輔からの3連打で3点を追加した。

7-1となったところで時間を迎えゲームセット。ドリームスターにとって長きにわたり目標であった群馬アトムからの初勝利を5年越しでついに手にしたのだった。

試合中も声を張りチームをけん引した宮内は大会後、「決勝があるので、余韻に浸る余裕はなかったです、ただ勝った時はチームが強くなっているんだ…と実感しました」と語り、練習の成果を体感した瞬間だった。

チームを率いた小笠原一彦監督も、「決勝を絶対に落とさない事だけを考え浮き足立たないようにしていました。でも、勝利の瞬間は不思議な位に冷静に選手に整列を促してましたね」

と語った通り、ここで優勝が決まった訳ではない。次の試合も全国大会出場経験が豊富なチームとの闘いが待っていた。

つづく

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