「第30回 全国身体障害者野球大会」千葉ドリームスター ”この大会はエースと心中” 日の丸同士の対決で見えた目標

5月15日〜16日、神戸市のほっともっとフィールド神戸などで「第30回 全国身体障害者野球大会」(以下、選抜大会)が開催された。

千葉ドリームスターは3年ぶりに選抜大会へ出場。初戦は打線がつながり、昨年11月に行われた「全日本身体障害者野球大会」で敗れた仙台福祉メイツを相手にリベンジを果たした。

迎えた2戦目は本大会で準優勝した岡山桃太郎。日本のエースと相対する事となった。

(取材 / 文:白石怜平)

強豪・岡山との2戦目、序盤は接戦に

初戦を勝ち抜いたドリームスターは翌16日、ほっともっとフィールド神戸で2戦目を迎えた。

対戦相手は岡山桃太郎(岡山)。”もう一つのWBC(ワールド・ベースボール・クラシック)”と呼ばれる「世界身体障害者野球大会」で日本代表のエースでもある早嶋健太投手を擁し、昨秋の選手権優勝・本大会でも準優勝と全国トップレベルのチームである。

ただ、ドリームスターの野球である”明るく・楽しく”は変わらない。普段通りの野球をやろうと、この日に限り監督代行を務めた土屋純一ヘッドコーチ(土屋来夢選手の父)がベンチそして三塁コーチャーズボックスから大きなジェスチャーで鼓舞した。

土屋ヘッド(写真左)がこの日指揮を執った

2戦目も前日に続き城が先発マウンドに。チーム全員が以前から声を揃えて「この大会は城と心中」と話していた通り、背番号18の右腕に全てを託した。

広島県出身の今年25歳は、両腕に1本ずつある橈(とう)骨が生まれつき左腕だけなく、左手の親指と人差し指がない障害があり、主に右手でプレーしている。

小・中学と健常者チームに在籍し、高校では地元の身体障害者野球チーム「広島アローズ」に入団。広島国際大時代には軟式野球部で主将を務めるなど高いレベルでのプレーを続けてきた。

また、上述の「世界身体障害者野球大会」で日の丸を背負い、18年には世界一に貢献するなど身体障害者野球を代表する選手の1人である。

20年に上京するとともにドリームスターに入団。現在も健常者のチームに所属し、毎週実戦経験を積むなどたゆまぬ努力を続けている。

エースとしてマウンドで守り続けた城

次ページ:序盤はビッグプレーもあり互角の展開に

関連記事一覧