「第24回 全日本身体障害者野球選手権大会」千葉ドリームスター 果たせなかったリベンジと光射した未来への可能性

連敗するも2人の選手が”公式戦初”の収穫

迎えた2日目。ドリームスターの相手は「阪和ファイターズ」。大阪府を拠点に活動しているチームで、今回は東近畿代表として参戦した。

小笠原監督はこの試合のオーダーを組むにあたり、「貴重な全国大会の舞台。当然勝つつもりで臨むが、みんなに緊張感のあるゲームを経験してもらいたい」そう考え、前日とはラインナップを変えて臨んだ。

初回、ドリームスターが試合を動かす。まずは2番・二塁でスタメンした三浦敏朗。下肢障害のある三浦はチームが本格的に始動した11年から在籍するメンバーの1人。

練習そして遠方の試合でも必ず参加し、野球が好きな想いを誰よりも強く持ち続けてきた。主に投手を務め、5月の春の選抜大会ではついに公式戦初登板を果たすなど、入団から10年以上経った今も一歩一歩技術を向上させている。

打つ方では両腕のみでスイングできるようバットを振り続け、公式戦初安打に向け練習を重ねてきた。

ここでは、しっかり球を見極め四球で出塁。公式戦初出塁となった三浦は監督の想いに応え、ベンチはハイタッチで迎えた。

三浦(写真右)の四球が先制点を呼び込んだ

そして、ニューフェイスも公式戦デビューを果たした。7月に入団した山田龍太。現在高校1年生の16歳である。

下肢障害を持ち、日常でも車いすで移動している山田は7月にドリームスターへ入団。幼少期から野球が好きで自分もプレーしたい。その想いを持って晴れてチームの一員になった。三浦同様に練習には必ず参加している。

自ら”もっと打ちたい”・”もっと振りたい”と申し出て、時には1日400スイング以上行うなど、毎週熱心にグラウンドへと出ている。

7月に入団し、公式戦デビューを果たした山田龍太

ここでは三振だったが、ベンチから「思い切って振って来い!」の言葉通り、3回しっかりスイングした。なお、山田は12月の練習試合、健常者との試合で三遊間への”初安打・初打点”となる内野安打を放った。

相手も全力投球だったことから、努力の成果が徐々に花開こうとしている。

なお、試合は初回にクリーンアップが機能し先制。三浦の選んだ四球が得点へと繋がった。

しかし、その裏に走者を溜めての痛打を打たれるなど4点を奪われ、3点のビハインドを追うことに。ドリームスターらしい勢いづける野球で逆転したいところであったが、試合時間の100分を迎え1−5でゲームセット。

昨年の5位(6チーム中)に続き、6位で大会を終えることになった。

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