「横浜市旧市庁舎街区活用事業」三井不動産が創り上げる関内の未来〜横浜スポーツビジネススクール 第3回編①〜

関内エリアの「継承・再生・創造」実現へ

そして最後のトピックは、現在進行している横浜市旧市庁舎街区活用事業について。

本事業は19年1月に公募が開始されているのだが、三井不動産はその3年ほど前の16年からアプローチに向けた検討を行っていた。つまり何が行われるか見えていない状態からすでに着目をしていたのだ。

公募開始から約半年後にDeNAらと入札に参加し、晴れて選出されることとなった。

大坪さんは、本事業には”継承・再生・創造”という3つの理念があると解説した。まさに三井不動産が日本橋再生事業の際に掲げていたものを活かしている。

”継承”というのは、7代目の市庁舎(1959年竣工)を保存活用することである。この旧市庁舎は、日本建築界の巨匠である村野藤吾さん(1891~1984)により、横浜開港100周年記念事業の一つとして設計された傑作である。

「ハードとしても残すのですが、村野さんが先進的なアイデアを出して実現した。その魂も引き継いで継承していきたいという想いを持っています」

横浜発展の歴史を象徴する記憶と風景を残していくべく、ここでは外観的特徴を活かしてホテルや商業施設へと生まれ変わる。

旧市庁舎行政棟 外観イメージ

”再生”これは、関内が開港から163年もの間たくさんの遠方や海外の方々を迎え入れてきた歴史がある。異文化を受け入れ成長してきたこの場所を、もっと活気あふれる場所にしたいという意図が込められている。

これを実現する1つが、ライブビューイングである。セントルイスなどアメリカで行われている”文化”を融合させ、関内をさらに盛り上げていく。

常設型ライブビューイングアリーナのイメージ(提供:三井不動産)

そして”創造”、これは関内・関外エリアを新産業構造のクラスターにすることである。

「MINATOMACHI-LIVE」のコンセプトにもあった、”次世代の横浜を象徴するエンターテインメント&イノベーションの拠点となり〜”の部分になる、新産業創造拠点を三井不動産が担う。

同社は、一般社団法人STELLAR SCIENCE FOUNDATION(以下、SS-F)と協力し、科学分野における研究者の研究活動支援並びに関内エリアにおける新産業創造のエコシステム構築を目指している。

SS-F代表理事の武部貴則さんの抱く、研究者を発掘して支援していくという想いに共感し、それを関内で実現させる構想を持っている。

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