「横浜市旧市庁舎街区活用事業」三井不動産が創り上げる関内の未来〜横浜スポーツビジネススクール 第3回編①〜

カージナルスの事例で見る「都市の象徴となるスポーツ」

このように多くの実績をつくってきた三井不動産であるが、スポーツと関連させたまちづくりにおいても力を入れている。

昨年、巨人の本拠地である東京ドームの大幅リニューアルを実施。国内最大級のメインビジョンの新設や、入場ゲートやコンコースのデザインが刷新された。

その他、豊洲にナイキジャパンと期間限定で「TOKYO SPORT PLAYGROUND」をオープンするなど、同社としてもスポーツと絡めることは重要なコンテンツと捉えている。

大坪さんは、スポーツ×まちづくりがもたらす社会的価値については「するスポーツ」「観るスポーツ」そして「都市の象徴としてのスポーツ」の3点があると話した。

「する」は、スポーツをすることを通じて健康促進や地域におけるコミュニティの醸成をもたらし、「観る」はエンターテインメントとしてのスポーツとして、スタジアムやその周辺の賑わいでまちを活性化させる。

そして頂点が”横浜と言ったらベイスターズだよね”というような、スポーツやチームが地域の代名詞的な役割となっているものである。

三井不動産は横浜市旧市庁舎街区活用事業を通じ、「都市の象徴としてのスポーツ」をDeNAそしてベイスターズとともに実現させたいと考えている。

そこで、大坪さんらは22年秋に川野さんらとアメリカに視察へ行った話を披露した。視察したのはセントルイス・カージナルスのボールパーク・ビレッジ。

本拠地球場であるブッシュ・スタジアム周辺にはオフィスやホテル、商業施設・住宅施設などが展開されている。スタジアム単体にとどまらず、スポーツやチームがオフィスやマンションの価値を上げることにも寄与した世界観がつくられている。

では、なぜその世界観が醸成されているのか。大坪さんはこう解説した。

「それは、カージナルスというチームが周辺施設に投資しているからです。チームがまちづくりに踏み込んでいる事例です。ディベロッパー単体だけでは別々の空間になります。チームとまちが連携してエリアの価値を向上させているのです」

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