「横浜スポーツビジネススクール」横浜DeNAベイスターズ × 福岡ソフトバンクホークス トークセッションで明かした”ユニフォーム配布イベント”誕生エピソード
20年前にさかのぼるユニフォーム配布イベントのルーツ
途中からは、受講生からの質問に答えながらのセッションに。一つ寄せられたのは、来場者へのユニフォーム配布イベントについて。
現在ではほとんどの球団が毎年行っており、配布日は各球場が満員になる人気イベントであるが、これを最初に行ったのがホークスである。ダイエー時代の04年に、第1回目の鷹の祭典で当時のホームユニフォームが配布されたのが始まりだった。
球界全体へと広がった画期的アイデアが誕生したきっかけについて、白川さんは当時を知る立場として明かしてくれた。
「03年に阪神タイガースとの日本シリーズで甲子園球場に行った時でした。とにかく驚いたのは、ユニフォームの着用率なんですよね。既に電車の中でもみんなが着ているじゃないですか。当時ホークスでは球場に来てユニフォームを着ている人が少なかった。なので、”球場でユニフォームを着る”ことを定着させたいと考えて一番最初に始めたのが翌04年でした」
ただ、実施に至るまではハードルがあった。当時の大変を振り返りながら続けた。
「(ユニフォームを)配ると言ったら、グッズのチームが『ユニフォームが売れないじゃないか』という反発があったり、チケット側では『確かに売れるかもしれないけども、その前後に偏って他の試合が売れなくなるのではないか』と今では絶対ない議論なんですけどもありました」
そこで提案したのは、イベントのスポンサー獲得を約束することだった。配布する分を賄えるだけの収益を確保することで実現し、20年続く大人気イベントへと成長していった。
ベイスターズも毎年8月、ホームでの3連戦を「YOKOHAMA STAR☆NIGHT」と題し、毎年デザインを凝らした特別ユニフォームが来場者に配布される。
ただでさえチケット入手困難と言われる中、イベント時にはさらに争奪戦が激化するほどである。林さんも「YOKOHAMA STAR☆NIGHT」の反響についてこう語った。
「初めて来た人がユニフォームを着る体験をすることで、ファンになってくれる最初のきっかけになるのではないかと思います。既存のファンにとっても、『次は別の素材のユニフォームを買おう』とも考えていただける機会にもなりますので、本当に秀逸なものをホークスさんが生み出してくれて感謝です」
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