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「”80%の部分”をいかに上へと引き上げていくか」福岡ソフトバンクホークスが示した意外なデータとアプローチとは?~第4期横浜スポーツビジネススクール 第5回編~

5/21〜7/13まで横浜市内で行われた「第4期 横浜スポーツビジネススクール」。全6回のプログラムで、ベイスターズの事業・育成両面の取り組みや海外スポーツの事例なども交えて展開されている。

第5回では「他球団との比較から見る、特徴を活かしたプロジェクトの作り方」をテーマに、福岡ソフトバンクホークスでの取り組みを紹介した。

ホークスではどんな課題があったのか、一大イベント「鷹の祭典」での例も交えてお送りする。

(取材協力:横浜DeNAベイスターズ、福岡ソフトバンクホークス 写真 / 文:白石怜平)

第5回は福岡ソフトバンクホークスの事例について

今回講師を務めたのは福岡ソフトバンクホークスの白川隆志さん。

白川さんは前身のダイエー時代から在籍しており、現在は取締役兼執行役員営業本部長(当時は取締役兼執行役員マーケティング本部長)を担っている。

福岡ソフトバンクホークスの白川隆志さん

講義では、ホークスのマーケティングにおける考えや事例についてを話した。ホークスはパ・リーグで唯一、年間の平均観客動員数が200万人を超えるなど、ベイスターズ同様に地域に根付いた人気を誇っている。

ただ、新型コロナウイルス禍で20年・21年と入場制限があったことから、他球団同様に19年と比べ20%ほどに激減。制限が撤廃された昨シーズンから再度戦略を練ってスタートを切る必要があった。

「コロナ禍でお客様が離れてしまっていた状況があったので、もう一度新たなお客様をちゃんとつくりにいく、そして離れたお客様に戻ってきていただくことをテーマにしました。
そのためにはもっとお客様のことを深く理解しないといけないですし、もっと魅力的な・価値のあるスタジアムにしていく必要があると考えてきました」

白川さんはここで、あるデータを示した。

「福岡県の生産年齢人口でいうと大体300万人と言われているのですが、野球観戦に来ているのがその20%、60万人程度なんです。つまり、まだ80%=240万人は昔来ていたけれども今来ていなかったり、一度も来場したことがないということです。この80%の部分をいかに上へと引き上げていくのかを、今年特に力を入れてやっています」

まだ240万人の市場で伸びしろがあることを示した

九州=ホークスというイメージが定着していると感じられる中で意外とも言える数値。白川さんも調査結果を知り講義終了後の取材でも、

「驕りだなと思いましたよ。今までファンやメディアのみなさんと知っている前提で話をしてきましたけれども、我々もまだまだだと思いました」

と感じたことを述べていた。

球団は深くお客様を理解するために、全ての接点でのリサーチを実施。来場者アンケートを行動からファン化に至るまでを細分化し、市場調査や購入時のデータなど多角的に収集した。

また、DeNA同様に親会社が大手IT企業でもあることから、その技術を駆使して分析にはAI・機械学習を用いて行った。

ITを活用したデータ分析も行う

そのデータをWebでの広告出稿や年齢や地域など、各々の属性に合わせた情報発信へと活用。結果の一例を挙げると、公式ファンクラブ「クラブホークス」の入会者数が前年比で約30%増を果たし、福岡県内にとどまらない範囲で増加傾向を見せた。

次ページ:一大イベント「鷹の祭典」で見つけた課題

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